つながろう! ニッポン

ムカデ人間』を観てきたんです。

http://mukade-ningen.com/


三人の口と肛門をつなげてムカデ人間を作る、という三条友美のスカトロ漫画みたいな一発アイデアだけの映画で、いい意味でまったく中身のない、頭をカラッポにして楽しむ作品でしたね。


ヨーロッパを旅するアメリカ人や日本人が変態にとっ捕まって酷い目に遭う、というプロットは『ホステル』と同じだし、映画の冒頭で、クルマが故障して困った二人連れが雨の中をさ迷った末にマッド・サイエンティストの屋敷にたどり着く、という部分はすでに『ロッキー・ホラー・ショー』がネタ化していたほどベタでありました。灯りを見つけたときは思わず新聞紙をかぶって”There's A Light(Over at Frankenstein Place)”を歌いたくなったほどです。

  • There's A Light(Over at Frankenstein Place):glee

屋敷にいる変態のヨーゼフ・ハイター博士は、フランク'n'フルター博士ほどチャーミングとはいえずいかにも気難しそうで、角度によっては年とったヒクソン・グレイシーに見えるときもあったほどです。


ムカデの先頭になった日本人の北村昭博も、いい味を出してました。ドイツ語と英語が飛び交う中、一人だけかたくなに日本語しか話さずに罵詈雑言の限りをつくし、ラストは日本人らしいカミカゼ精神で博士の異常な欲望を打ち砕きます。


ハイター博士が三人の人間をつなげてひとつの生き物にしようとするのは、「個」の尊厳を奪うという人間性を踏みにじる行為であり、最も残酷なサディズムの表現といえます。この作品が欧米でとくに衝撃的に受け止められたのも、「個」を重んじる文化ゆえでしょう。続編は『ホステル』にも通じるトーチャー・ポルノの趣きがあるそうで、イギリスで上映禁止になったというのもうなづけます。


でも、あのラストからどう続編につなげるのかなぁ。