処刑遊戯

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さて、例の星島被告への無期懲役判決について、（自称）はてなアイドルの方が吹き上がっているようです。

最高刑の妥当性 - (旧姓)タケルンバ卿日記

まぁなんというか、あまりに論理展開がおかしいのでどうツッコめばいいのかわかりません。

タケルンバ氏いわく、

• 日本の最高刑は死刑である。
• 殺人罪の最高刑は死刑である。

刑法 第199条　人を殺した者は、死刑又は無期若しくは５年以上の懲役に処する。

• 被告は殺人罪を犯した。
• それもかなりの残虐な手段、経緯で。
• 裁判では残虐な手段で殺人が行われたことは認定されている。

• これで最高刑でないなら、最高刑がある意味は？
• 人ひとり殺しても、最高刑にならないの？
• いったいどういう殺し方ならば、被害者ひとりでも最高刑になるの？

疑問。もの凄く疑問。そしてだ。

• 今回の事件より、ひどい殺し方ってあるの？

これに答えがないなら、人ひとりの殺人では、日本では最高刑が適用されないということになる。被害者はふたり以上ではない限り、最高刑は適用されないということになる。これ以上むごい犯罪はないだろ。ないってことは、もはや有名無実ってことだろ。

ちゃんと条文も引用してるのに、そこに「又は無期若しくは５年以上の懲役」と書いてあることが理解できないんでしょうか。「人ひとり殺しても、最高刑にならないの？」って、その疑問の持ち方はおかしいですよね。「殺人罪にならないの？」ならわかりますけど。「オレは最高刑しか認めない」ってんなら、最高刑以外がある意味についても考えてほしいものです。

人ひとり殺しても、最高刑にならないの？

実は、人ひとり殺して死刑になる例はけっこうあります。

• 強盗殺人
• 強姦致死
• 営利誘拐殺人
• 保険金殺人
• 過去に殺人の前科がある

などの場合は、被害者が一人であっても死刑判決は出ます。

http://www.geocities.jp/waramoon2000/linker.html
（くわしくはこちら参照。ものすごく読み応えあります）

今回の事件より、ひどい殺し方ってあるの？

これまた、無人島の話んときにセクハラ容認の発想を批判されて「ビジネスの世界はもっと厳しいんだぞー、この程度でセクハラとか言ってたら仕事なんかできないんだぞー」って言ってた人とは思えない、ナイーヴな反応ですね。殺人の世界はもっと残虐なんだから、この程度で吹き上がってたら裁判員制度なんてやってられないよ。

三島女子短大生焼殺事件 - Wikipedia

2002年に静岡県三島市で起きたこの事件では、犯人は被害者を粘着テープで縛り、生きたまま灯油をかけて焼き殺しています。

殺害方法の残虐さや、強盗致傷の前科により仮釈放中の犯行という悪質さを鑑み、この事件でも高裁で死刑判決が出て、昨年に上告が棄却され、確定しました。

また、残虐さではこの事件も有名です。
北九州監禁殺人事件 - Wikipedia
こちらも2002年に発覚した事件で、松永太という犯罪史上まれに見る怪物の虐待・拷問により、支配下におかれた一家が互いに殺しあうことを強要されました。10歳の少女に５歳の弟を殺させるというあたりの残虐さは他に類を見ないもので、一審で死刑判決、控訴も棄却されています。

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

ほかにも、「ハンマーで顔面を滅多打ちにして殺害」「車ではねたうえ、虫の息だった被害者の頭部に大石を投げつける」「レイプした被害者を長期間にわたって監禁・虐待して衰弱死させる」など、残虐といわれる殺し方はいっぱい伝わっています。

昭和53年7月に、山口組三代目組長・田岡一雄を京都のサパークラブ「ベラミ」で銃撃したヒットマンの鳴海清は、二ヵ月後に山中で腐乱死体となって発見されましたが、死体には複数の刺し傷があり、前歯が折られ、爪や男性器が欠損しておりました。殺害前に激しいリンチを受けたものと推測されます。

ドンを撃った男 (双葉文庫)

この事件では、鳴海を匿っていた所属組織の幹部三人が「山口組の報復により、持て余す存在になっていた」として殺害を自供しましたが、供述に矛盾があり、物的証拠もないとして無罪判決が出ています。

包丁で首を刺して殺害、というのはふつうの感覚なら残虐といっていいですが、数多の殺人事件の中では比較的あっさりした方法なんですね。

星島被告の場合、

• 殺害に計画性がない
• 前科がない
• 自ら死刑を求めるなど、反省している
• 殺害前に加えた暴行は比較的少ない（あくまで「比較的」ね）

などの点を考えると、むしろ無期懲役は重いといってもいいぐらいです。

とはいっても、巷間いわれている彼の性癖（手足を切断された女性に性的興奮をおぼえる）が本当だとしたら、検察の描く絵も変わってくるでしょう。もし、生きたまま被害者の手足を切断して死に至らしめた、とかいうんだったら間違いなく死刑だったと思われます。

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遺体が粉砕されているため、殺害の状況を細かく詰めることができませんでしたから、この判決は妥協の産物だとも言えるんですね。

現代の法律では、死刑判決は人を殺さない限り出ないので、処刑マニアの方々は不満かもしれませんが、昭和22年までは「大逆罪」があり、天皇・皇后・皇太后・太皇太后・皇太子・皇太孫に危害を加えもしくは加えようと計画したものは問答無用で死刑と決められており（しかも三審制も適用されない）、それ以外の刑罰はありませんでした。

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とはいっても大逆罪は４件しか適用されたことがなく、しかもそのうち、政治的思惑によるパフォーマンス的な摘発が２件あり、天皇陛下のお慈悲により恩赦・減刑された容疑者もいましたので、処刑マニアの方々を満足させるには不足かもしれませんけどね。

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