森に眠る魚

森に眠る魚

森に眠る魚

昨日は、山形市角田光代先生の小説家講座を受けてまいりました。


ゲストとして、最新作『傍聞き』で日本推理作家協会賞を受賞された、長岡弘樹先生もいらしています。

傍聞き

傍聞き

山形市在住の長岡先生は、ちょっと堺雅人を思わせるところのある、素晴らしいイケメンでもありました。ちなみに、DEEPなどで活動する総合格闘家長岡弘樹選手は同姓同名の別人ですのでお間違えのないよう。


角田光代先生は、純文学とエンタメ小説の両方のフィールドで活躍されていますが、両者には書き手の意識の持ち方に違いがあるそうです。


小説は、なんらかの形で書き手とリンクしているものですが、

  • 書き手自身が抱える問題意識やテーマ
  • 読み手の心を動かしたい(驚かせたい、怖がらせたい、喜ばせたいなど)という表現欲

純文学はその前者が、エンターテインメントは後者が創作の根底にあるそうです。


で、自身のテーマを描くにしても、作者自身をそのまま描いてしまっては小説にならないので、主人公を別の人間にするなどの工夫が必要とのこと。

いかに「自分」を抜いていくか、という作業が大切なんですね。


雑誌が求めるものもジャンルによって違い、(角田先生は、純文学の雑誌を「文芸誌」、エンタメ雑誌を「小説誌」と表現される)はじめて小説誌で仕事をしたとき、「頁をめくりたくなる、先が読みたくなる小説をお願いします」という注文を受けて驚いたそうです。

それまで仕事をしていた文芸誌では、「頁をめくりたくなくなる」「一文をずっと味わっていたくなる」のが良い小説だとされていたので、この注文は新鮮だったとのことでした。


また、角田先生が思う「上手い文章」とは、「一文だけ読んで誰が書いたかすぐわかるもの」だそうです。


ただし、ご自分が書くときはそうならないように、クセを出しすぎないように注意されているとのこと。


ぼくも、油断するとつい「ぬうっ」とか「おきゃあああああっ」とか書きたくなるので、そこは気をつけないといけませんね。

新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 (FUTABA NOVELS)

新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 (FUTABA NOVELS)


ブログを書く上でも、「印象的な一文を引用したくなる」ブログと、「さかのぼって過去ログを読みたくなる」ブログの、どちらを目指すかという方向性があると思います。


ぼくの場合は後者を意識してますが、ブクマを集めるホッテントリは前者の方が多いんですよね。ブックマーカーというのは、意外に純文学的な読み手が多いのかもしれません。

今回も参考になりました。ありがとうございました。