力なき正義は無能なり

金色のガッシュ!! 33 (少年サンデーコミックス)

金色のガッシュ!! 33 (少年サンデーコミックス)

雷句誠の告発に端を発した小学館の騒動ですが、新條まゆも参戦してきたようで話題になっています。

http://blog.mayutan.com/archives/51397618.html


こういう、漫画家と編集者のトラブルといって思い出すのは、梶原一騎講談社の編集者への傷害事件で逮捕された件ですね。

梶原一騎伝 夕やけを見ていた男 (文春文庫)

梶原一騎伝 夕やけを見ていた男 (文春文庫)

梶原一騎の場合、ほかにもつのだじろう大山倍達アントニオ猪木ともトラブルがあり、この人の人格に問題があっただけとも言えるのですが、今回の件は、漫画業界のあり方を問うような大きな問題になりそうです。



今回、雷句誠に名指しでこき下ろされている編集者は、橋口たかしの作品に同名キャラが出ているそうですが、こういう風に実在の人物にちなんだキャラを出すと、後でその関係に変化が出たときに困ることになりますね。


吼えろペン 11 (サンデーGXコミックス)

吼えろペン 11 (サンデーGXコミックス)

島本和彦の『吼えろペン』でも、人気若手俳優の自伝を漫画化するものの、その俳優が不祥事を起こしてお蔵入りになるというネタがあり、「実在の人物ってのは怖いなぁ…」と炎尾燃も嘆息していたものでした。そういえば、この漫画には原稿紛失ネタや編集者との確執ネタもあるので、今後さらに注目されること必至ですね。


また、この件に関して竹熊健太郎氏も発言していますが。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4da3.html


この人も、漫画に登場することの多い人物で、とくに学生時代からの友人である桜玉吉アフタヌーンに連載した『なぁゲームをやろうじゃないか!』では、当時結婚したばかりだった竹熊氏と奥さんがラブラブで登場してくるので、今となってはただただ痛いです。


梶原一騎も実在の人物を出すことの多い人で、その描き方にはかなり問題があると思われるのですが、中でもすごかったのが、『四角いジャングル』のミスターX。
[rakuten:rdownload:10052733:detail]
アントニオ猪木との対決に向け、燃えるウイリー・ウイリアムスの前に現れた謎の覆面黒人空手家。彼はミスターXと名乗り、ウイリーや猪木を挑発してきます。

そして、走ってくる自動車を飛び越えたり、極真会館のNY支部に道場破りをしかけたりとその強さを存分にアピールし、メディアミックス戦略に乗った純真な少年ファンの期待を高めた上で、ついに実際に来日し、アントニオ猪木と対戦しました。


ところが、これが空手家とは名ばかりの単なる太った大男。


まったく空手の動きができず、試合巧者の猪木でもどうすることもできず、あっさりと逆十字に極めてしまいました。


この羊頭狗肉に対し、梶原一騎はなんと「偽物説」を持ち出してきます。


本物のXは、あまりに極真空手を挑発しすぎたため、高弟の大山茂や芦原英幸が怒り、制裁されて来日不可能になった、という驚天動地のアングルです。芦原が得意の手裏剣を持ってニューヨークへ向かったという情報もある、などと書いてありますが、これは完全に極真会館非合法組織と位置づけるものだったんではないでしょうか。



ちなみに、芦原英幸は実際に手裏剣の名手として知られ、家庭でも手裏剣が飛んでいたそうです。

芦原英幸伝 我が父、その魂

芦原英幸伝 我が父、その魂

実はこの本にも問題があり、芦原の息子である英典氏へのインタビュー形式でありながら、著者の小島一志氏による文章が、あたかも英典氏が語ったかのように書かれているとしてトラブルになりました。重版は無理そうなので、お買い上げはお早めに。


この件も感情的にもつれ、小島氏は「お互い武道家同士なら、果し合いで決着をつけよう」ノールールでのデスマッチを要求しているのですが、芦原会館からの返答はないそうです。


http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4da3.html


雷句誠の場合は、暴力で解決しようとはしないだけ、正常な社会人といえますね。