思い出の「ホゲ〜ッ!」

ぼくの人格形成に多大な影響を与えた梶原一騎も、すでに没後30年近くとなり、若い世代ではまったく知らない人が多くなりました。googleで「梶原一騎」と検索しても、Wikipediaの本人項目の次に、娘が台湾でマフィアに誘拐・殺害された事件についてのページがずらりと並ぶというありさま(地獄インターネットにおいては、若い女性が被害に遭う事件は抜群のヒキを持つコンテンツとして「胸糞注意」「閲覧注意」などという惹句とともに消費されている)であります。


かつては『巨人の星』や『愛と誠』『空手バカ一代』など時代をリードする名作が綺羅星の如く並んでいたものですが、近年では読まれることも少なくなり、ぼくと同世代のオタクと話していてもこの辺の作品はなかなか通じないというのが現状です。『巨人の星』の飛雄馬が高校中退でプロに入ったことすら、最近では知らない人が多いという。


そんな現状にあって、梶原作品の中では決して評価が高いとはいえない『プロレススーパースター列伝』が、いまなおオタクの共通語として生き残っているのはなんとも不思議きわまる事態!

真面目な話、これってかなり不思議なことだと思うんですよね。『巨人の星』の牧場くんとかぜんぜん通じないのに、『プロレススーパースター列伝』の「まぁ火の酒テキーラをどうぞ」のおじさんはみんな知ってるわけですよ。超名作『あしたのジョー』はともかく、それと並んで読み継がれているのが、同じ話の使い回しが目立つ(とくにブッチャー篇とブロディ篇は出てくる敵レスラーまでほとんど同じ)『列伝』というのは謎の現象だよなあ。何が後世に残るか、なんてリアルタイムではわからないものなんですね。まぁオレも超大好きな作品であることに変わりはないんだけど。とにかく原田久仁信の作画がすばらしいんだなあ。あと「ホゲ〜〜ッ!」は梶原作品の中でもこれにしか出てこないので、これも謎の言葉として後世に残ることでありましょう。


「ホゲ〜ッ!」大全 - 男の魂に火をつけろ! 「ホゲ〜ッ!」大全 - 男の魂に火をつけろ!
(もう6年前だよコレ……)