左を制する者は世界を制す

ここ最近の、うちのブログでブクマなど反響のあったエントリを見ると、「人権」だの「歴史修正主義」だの「世界革命戦争」だのといったワードが並んでおり、どうもうちは左翼ブログと思われているような気がする今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。


というわけで、本物の左翼とはどういうものか知るため、この雑誌を取り寄せました。

情況 2008年 06月号 [雑誌]

情況 2008年 06月号 [雑誌]

ゴリッゴリの左翼オピニオン雑誌ですが、今月は『実録 連合赤軍』特集号。


あさま山荘メンバーの加藤倫教や、軽井沢駅で逮捕された植垣康博や青砥幹夫、赤軍派議長だった塩見孝也など、映画に登場してくる人物が、この映画について論じているという、メタフィクションというかなんというか、とにかくすごいことになっています。


予告編にも出てくる、加藤元久がいう「俺たちは勇気がなかったんだよ!」の場面は、この映画で最も重要なテーマを表していますが、兄である倫教は、

現実には、弟がこのような発言をした事実はないし、私は、「勇気がなかった」から我々の誤りを正すことができなかったとは考えていない。

そうです。


では、なぜ同志を殺害し無残な敗北を喫することになったかというと、

私は「連合赤軍」の兵士として最大の悔いは時代の変化を読めなかったことだ。

今の言葉で言えば「空気読めない」ヤツだったことだ。

だそうです。連合赤軍はKYだったのですね。


また、総括リンチで地獄を見てきた加藤・植垣・青砥らが悲痛な悔恨に満ちた文章を寄せているのに対し、早々と逮捕されたのでリンチに関わらなかった塩見は妙にノリノリで、自分を演じた坂口拓について、

「塩見が、えらくハンサムに描かれている」と言うのが世間の評判ですが、僕の方は、例の思い込みで、「俺の方が、もっとましだった」と、密かに思っているのですが、どうも誰も認めてくれないようです。

とまで書いてます。とてもテロリストの親玉が書く文章とは思えません。

全文は、塩見孝也HPにアップされているので、こちらで読めます。
http://homepage2.nifty.com/patri/column/2008_05_18_movie_2.html


それにしても、坂口拓は『魁!!男塾』では日本男児の極致を演じ、一方では赤軍派議長を演じているのだから、その振り幅の大きさはただごとじゃないですね。

魁!!男塾 スタンダード・エディション [DVD]

魁!!男塾 スタンダード・エディション [DVD]



あと、赤軍派は1969年11月に大菩薩峠で53人が検挙され弱体化した(塩見もこのときの捜査で逮捕状を取られている)のですが、この舞台となったのは「福ちゃん荘」という山小屋でした。映画にも出てくるし、エンドクレジットにも名前が挙がっています。


調べてみたら、ホームページもありました。


http://www.kcnet.ne.jp/~fukuchan/


「福ちゃん荘のあゆみ」を見ると、経営している家族の歴史に混じって赤軍派のこともちゃんと書いてあり、しかも2002年には皇太子夫妻がこちらでご休憩されたというから、歴史というものの皮肉さを感じる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。


大魔法峠 I [DVD]

大魔法峠 I [DVD]

(まったく関係ない)