炎の導火線

昨日は、コミックモーニング副編集長の編集者講座を受けてまいりました。


http://gs.tuad.ac.jp/tobunken/blog.php?ID=141


漫画ファンにとって、編集者といえば漫画に出てくる「先生、原稿まだですか」と言ってる人というイメージしかないと思うんですが、実際の作業について聞いてみると、また面白いですね。

サルまん』では、「漫画家の修羅場その後」として、相原と竹熊から原稿を受け取った弁髪編集者の佐藤が、安心して眠りにつく二人に「いい気なモンだな、このガキ!」と毒づき、編集部に帰って、ふきだしに写植を貼ったり欄外のアオリ文句を入れたりと、校正作業を行うという話がありました。


そして、校了したやつを印刷屋さんに渡すと、今度は佐藤が眠りにつき、印刷屋さんが「いい気なモンだな、このガキ!」と毒づくんですね。


こうやって、後の工程になるほど発売までのタイムリミットが近づくわけで、どんどん導火線が短くなるダイナマイトのバトンが渡されていく、ということでした。

炎の導火線(紙ジャケ)

炎の導火線(紙ジャケ)


ですが、編集者の仕事はもっといろいろあるわけで。



漫画雑誌には、少年誌に多い平綴じ本と、青年誌に多い中綴じがありますね。



んで、平綴じの場合は一つ一つの作品をそれぞれ作ってまとめればいいわけですが、中綴じの場合は、一枚の紙の左と右に別々の漫画が載ることになるわけで、まずそのレイアウトを決め、編成表を描かなくてはいけません。


こうして、どの漫画とどの漫画を一緒の”折り”に印刷するかを決めて、それぞれに締め切りを設定するわけです。


よく、ファンの間で「漫画の締め切りって発売日の何日前?」と話題になりますが、実際には工程によっていくつかに分けられており、編集部的には毎日なにかしらの締め切りがあるんだそうです。


んで、締め切りを設定しても、予定どおりの日に仕上がるとは限らない、というのはよく漫画で見る話です。


どれかの作品が遅れると、では先に上がっている作品と順番差し替えということになり、編成表の描き直しを余儀なくされるわけですね。


このため、編成表を作る時点で、”看板作品は別々の折りに散らす”というノウハウがあるんだそうです。


漫画ファンの間には、”雑誌の末尾の方に載っているのは不人気作品”という認識がはびこっていますが、それは正しくないんですね。



また、折って綴じたときにきちんとした形になるように、内側の折りはやや幅が狭く、外側になるほど広くなっているというのは考えてみれば当たり前のことなんですが、こうして聞いてみるまでそんなことはぜんぜん意識したことがなかったので、新鮮でした。


コミケやってるような人からすれば、「何をいまさら」って感じなんでしょうけどね。


んで、終わった後の打ち上げにも連れてってもらったのですが、行ったお店がなまはげというところ。


http://www.sendainamahage.jp/


秋田の古民家を移築した内装で、きりたんぽ鍋や比内地鶏など秋田料理を出すお店なんですが、一日二回なまはげショー”があり、照明が落とされた店内に吹きすさぶ吹雪の音がアナウンスされ、各テーブルを「悪い子はいねがー」なまはげが巡回するんです。


今回の打ち上げメンバーのうち、スタッフじゃないのはオレだけという微妙な立場で行ってたんですが、そんな状態でなまはげの来訪を受けると、「オレ、いったい何やってんだろ」という気持ちになるのでした。