写真うつりのよい女

いま読んでる本。

退職刑事 (1) (創元推理文庫)

退職刑事 (1) (創元推理文庫)

都筑道夫による、安楽椅子探偵ものの代名詞的な作品です。


シリーズ第一作となった「写真うつりのよい女」の発想の源については、評論集『黄色い部屋はいかに改装されたか?』で書かれていました。

黄色い部屋はいかに改装されたか?

黄色い部屋はいかに改装されたか?

この短編では、クラブホステスが自室で殺されるのですが、その死体は裸に男物のパンツ一枚だけをはいた異様な姿で発見されます。

この不可解な状況について、退職した元刑事が現職刑事の息子から話を聞き、論理的に推理していくのですが、これは実際にあった事件をもとにしているそうなんですね。


モデルになった事件では、裸で寝ていた女性が部屋に侵入してきたストーカーに襲われ、抵抗して殺されてしまいますが、死体を全裸のままにしておくのが忍びなかったのか、犯人が自分のパンツを脱いで被害者の遺体にはかせたというからまさに事実は小説よりも奇なりというか。

小説でこんな真相だったら「ふざけんな」って言われますよね。


そういえばちょっと前、新聞記者が自宅で後ろ手錠で口に靴下を詰め込まれ窒息死していたという事件がありました。
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20070406
これは結局事故死として処理されましたが、密室ものとしては魅力的な謎の提示でしたね。


また、今月はじめに川口市で女性が自室で殺害される事件があり、こちらの事件でも窓や玄関は施錠されていましたが、どこのニュースでも密室とかそういう話は出ません。

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

最近は、マンションとかオートロックが当たり前だから、密室殺人なんて成立しえないんだろうなぁ。