カラテ地獄変・その2
さて昨日は、牙直人が少年院の教官を殺害して三年間服役したところまで書きましたね。
では続き。
出所した牙ですが、奈美がいないこの世に完全に絶望しきっており、自暴自棄で暴れまくり、警察やヤクザに追われます。
そこで、かつて奈美を少年院から連れ出した、あの凶悪な片腕の男と再会します。
彼の名は、金城卓馬。
奈美の婚約者、金城寅之介の兄であり、彼もまた奈美に懸想していたのでした。
ヤクザの用心棒になっていた彼に弟子入りし、さらにカラテの腕を磨く牙直人。
金城は言います。
ただし だんじてわしより強くはさせんぞッ
お前の両のマナコには 何か凄い 物騒なものがある!
あんまりそいつを助長させると 剣呑 剣呑だて…
フフフフッ
師匠としてはどうかと思う言い草ですが、用心棒などという不安定な稼業についている人間としては、こういう処世術みたいなものも必要なんでしょうか。
そのくせ、酔ってクダを巻き、奈美の思い出をツラツラと語っているときなどは、付き合いきれずに帰ろうとする牙に向かって、
わしはお前が好きだ…
と、引き止めます。
この、不思議と悪人をひきつけるというのは牙の持つ一種の才能としてこの後もいかんなく発揮されますのでご記憶のほど。
こうして、暴力稼業とカラテ修行の日々を送る牙直人でしたが、あるとき、芸能事務所どうしのトラブルから、美少女歌手を拉致して暴行する仕事をすることに。
その歌手が、死んだ火之原奈美にそっくりだったというご都合主義偶然により、血迷った牙は師匠と組織を裏切って彼女を逃がし、自分も逃亡します。
しかし、所詮逃げ切れるはずもなく、屋台でラーメンを喰っているところを金城に発見され、連れて行かれそうに。
不意打ちをかまそうとしますが、それも簡単に受け止められます。
もはや万事休すか、と思われたその時。
ホー きみたちかなり空手をやるな
屋台のスミでラーメンを喰っていた、トレンチコートの男が声をかけました。
その男は、その場で十円硬貨を指三本で二つ折りにたたむという、おなじみの技を披露します。
まさにその男こそ、この漫画の本当の主人公ともいえる大東徹源!
その初登場は、ラーメンを喰いながらという意表をついたものだったのでした。
- 作者: 土山しげる
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 1995/11
- メディア: コミック
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