美しき狼たち
実写版『あしたのジョー』を観てきたッス。
- アーティスト: (オリジナル・サウンドトラック),北里玲二(音楽),高橋哲也(音楽)
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放浪の果て、ドヤ街に流れ着いたジョー。さっそく子どもたち(サチとか)と親しくなり、彼らを引き連れて、食堂で無銭飲食をしようとしますが、そこで酔っ払いの丹下段平(コントみたいなコスプレの香川照之)に絡まれます。この辺はまぁ原作に沿っています。
でもそこから展開は急速にスピードアップ。食堂で昼間から酔っ払っている段平のもとに借金取りのヤクザがやってきて、喧嘩をはじめます。テーブルの料理をひっくり返されたジョーは激怒して暴れまくり、段平と、偶然その場に居合わせた白木葉子(香里奈)に強い印象を与えます。
ですが、そこに警察がやってきてジョーはさっそく逮捕され、開始10分たらずでいきなり少年院送りになります。詐欺事件じゃなかったのかよ!
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んで、少年院に入るとそこには段平の借金を取り立てに来ていた太めの若いヤクザがおり、こいつがマンモス西です。鑑別所が省略されているので最初から西はいじめられっ子で、おなじみのねじりん棒やパラシュート部隊も割愛されています。リンチに遭うこともなくジョーは暴れまくり、乱闘に巻き込まれた西は早くも鼻からうどんを出します。時間が限られているので、全体的にペースははしょり気味です。
もちろん、ジョーはそこで力石にノックアウトされ、宿命のライバルとの出会いを果たします。力石役の伊勢谷友介は少年院収容者にしてはややトウが立っていますが、ルックス的にはかなりのはまり役です。ジョーのパンチはちょっと脇が甘いですが、力石の方は文句なしです。で、葉子の手引きで所内ボクシング試合が開かれ、ジョーと力石がクロスカウンターで相討ちになるのはもうみなさんご存知と思います。
続いて行われるはずの所内トーナメントは省略されているので、ファンにおなじみの青山くんは出てきません。そのかわり、少年院仲間にちゃんと「ガイコツ」らしいウスラハゲの男がいます。
(↑コイツが「ガイコツ」。原作では最終回のホセ戦にも観客として登場する長寿キャラであった)
このように、基本的には原作どおりのストーリーですが、ところどころで省略や改変が見られます。林屋は出てこないのでもちろん紀ちゃんも出ないし、ウルフ金串はジョーとの因縁がなくなり、単なる野獣のようなボクサーに変わっています。しかも白木ジム所属になっているので、アジア拳の大高会長は出ません。
山Pは、場面によって寡黙だったり饒舌だったりして、キャラクターにいまいち統一感がなくなっています。ジョーは本来おしゃべりな皮肉屋なんですが、その辺はあまりうまく描けていないように思われました。
また、葉子は白木財閥の孫娘ではありますが、実はドヤ街の出身であり、その出自を隠すためにドヤ街を地上げしようとしています。力石が少年院に入ったのも、葉子の出自を記事にしようとした記者を半殺しにしたためでした。ジョー:力石:葉子の関係を中心として話が整理されており、丹下ジムを排除しようとするボクシング界の抵抗勢力などは省略されています。それでワリを食ったのがウルフ金串だった、といえるでしょうね。
その代わりというわけでもないでしょうが、原作に出てこない人物も追加されています。杉本哲太は、マンモス西のもと兄貴分・安藤洋司役で登場。原作で人気の高いゴロマキ権藤に近い役どころですが、権藤は後半に出てくるキャラなので、別人になったのでしょう。それと、倍賞美津子は謎のおばさん役で特別出演していますが、本当に誰なのかまったくわかりませんでした。もしかしたらジョーのお母さんか何かなのかもしれませんが、セリフも一言もないし。
個人的にポイントが高かったのが、解説者役で浜田剛史が出演していること。
- 作者: 佐瀬稔
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今回の映画は、力石が死んでジョーが放浪の旅に出て、そして帰ってくるところで終わり。ラストまで書いちゃいましたけど、いまさら『ジョー』についてネタバレとか言う人はいませんよね、もう。
ただ、旅に出てから帰ってくるまで一年かかっているのは、どうかと思いました。原作だとそんなにはかからないんですけどね。夜の街で、ヤクザの用心棒に身を落としたウルフ金串とゴロマキ権藤に会うというグッとくるエピソードもあるんですが、まぁその辺は『2』が制作されるのを待つことにしましょう。
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