クリスマスイブ…その贈り物は

伊達直人」を名乗って児童養護施設にランドセルなどを寄付する「タイガーマスク運動」は、昨年のクリスマスに群馬県ではじまったのを皮切りに全国へと拡大し、だんだんワケがわからなくなってきました。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110111-OYT1T01029.htm

虎の覆面姿も出た、タイガー運動42都道府県に

 漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人などを名乗る匿名のプレゼントは11日も広がり、読売新聞のまとめで、昨年末以降、42都道府県に及んでいる。


 栃木県ではこの日、県内2か所の児童相談所に、ショッピングセンターの従業員から、新年度に小学校入学予定の児童数を問い合わせる電話があった。

 かばん売り場を訪れた中年の男女から、ランドセルを贈りたいとの申し出を受けたという。「おしどり夫婦」を名乗る2人は、21人全員分の代金を支払い、両施設への送付を依頼したという。

 山梨県では、3か所の児童養護施設にランドセル計5個が届いた。前日に新入学児童数や男女別を問い合わせる電話があり、親が購入予定の1人を除く5人分が届いた。

 静岡市児童養護施設「静岡ホーム」には現金5万円が郵送されてきた。その後、40歳代くらいの女性がランドセル1個を置いていった。

 同施設には、7日と8日にも現金やランドセルが届いており、同施設の豊島雅男指導係長は「本当にありがたいが、こんなに贈り物が続くとは」と驚く。

 虎の覆面をかぶった贈り主も現れた。大分市では、タイガーマスクのような虎の覆面姿の男性が、市内の児童養護施設を訪れ、「伊達直人」と名乗って職員にランドセルを手渡すと、施設の子供たちが追いかける中、別の男性が運転する車で去っていったという。

 また、ドラマ「肝っ玉かあさん」に出演した女優の京塚昌子さん(故人)や漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈岡山県では桃太郎を名乗る贈り主も出た。

なんで京塚昌子なんだよ。『巨乳ハンター』か。
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ほかにも、ちびっこハウスの職員である「若月ルリ子」名義での寄付や、長崎県では故伊藤一長前市長名義で平和祈念像の前にランドセルが置かれ、奈良のランドセル製造会社では「せんとくんの友人」から30万円が届くなどしており、2ちゃんねる発では、『天空の城ラピュタ』のムスカにちなんだ寄付も出てきました。


http://hamusoku.com/archives/3960250.html


矢吹丈名義での寄付は、兵庫県と埼玉県であったようです。
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/110111/stm1101112136012-n1.htm

 さいたま市緑区児童養護施設には、別々の筆跡で伊達直人名義のランドセル2個と、漫画「あしたのジョー」の主人公「矢吹丈」名の文房具セットが。文房具セットには「俺もホントの親を知らず育った1人です! みんなも負けずに頑張って」と記されていた。


http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011011101000356.html

 10日夜、兵庫県姫路市児童養護施設前にランドセルが置かれているのを施設職員が見つけ、県警に11日朝連絡した。添えられた便箋には、漫画「あしたのジョー」の主人公「矢吹丈」の名前で「そろそろ俺の出番かな」と書かれていた。

 姫路署によると、ランドセルは赤と黒各1個で、絵の具セットが2個同封されていた。袋に包まれていて、手紙には「入学おめでとう」とも書かれていたという。

まぁ『タイガーマスク』と同じ梶原一騎作品だし、孤児だったということでジョーが選ばれたんでしょうけど、でもジョーは寄付には不向きな人物だと思うなぁ。

あしたのジョー(1) (講談社漫画文庫)

あしたのジョー(1) (講談社漫画文庫)

ジョーが少年院に入ることになった罪状は、ドヤ街の子どもたち(サチとかキノコとかヒョロ松とか)を孤児に仕立て上げ、テレビで寄付を募った、寄付金詐欺なんですよね。


この被害に遭ったのが、のちにジョーのマネージメントを務めることになる白木葉子なのですが、裁判でジョーは彼女に対し「偽善者」と罵っています。ジョーは徹底的に善意というものを拒絶し、感謝ということを知らない人物として登場してきますので、恵まれない子どもたちにジョー名義で寄付するのはどうかと思うなぁ。


どうしても『あしたのジョー』からプレゼンターを出したいのなら、ここは悪たれのジョーでも偽善者の葉子でもなく、カーロス・リベラが適役だと思いますね。

ジョーの住むドヤ街をカーロスが訪れ、サンタクロースの格好で、子どもたち(サチとかキノコとかヒョロ松とか)にプレゼントを配るエピソードと、その後、二人が連れ立って夜の街を遊びまわる場面のキャッキャウフフ加減ときたら。腐女子ならずとも、その美しさには涙がこぼれること必至です。


梶原一騎作品には、『タイガーマスク』や『あしたのジョー』のみならず、『カラテ地獄変』でも主人公の牙直人は孤児院育ちですが、彼が育った孤児院は補助金ピンハネを目的とした悪質な施設で、職員に噛み付いては脱走していましたから、「牙直人」名義で児童養護施設に寄付するような人はいないでしょうね。というかそもそもマスコミの人も牙直人なんて知らないから報道されないだろうし。