カラテ地獄変・その1

では本日はいよいよ本題に入り、「カラテ地獄変」について書きます。

「カラテ地獄変」は、「ボディガード牙」の続編として1974年〜77年まで週刊サンケイに連載された作品。


前作で数々の難事件を解決し、名声を得たプロ・ボディガードの牙直人が、「オマエの過去を暴露する」と脅迫され、謎のバイカー集団の襲撃を受けます。

その中には、彼と因縁浅からぬ片腕の男が。


果たして、牙直人の呪われた過去とは…?



という導入部なのですが、この50頁ほどのエピソードは初版の新書版にしか収録されておらず、現在は入手困難です。

ここが重要なんだけどなぁ。



で。



牙直人は、終戦直後の荒廃した時代に、強盗に一家皆殺しにされた母親の死体から生まれたという呪われた子でした。

オマエは鬼太郎か。


そして、引き取られた親戚にもすぐに捨てられ、孤児院で育った牙。

その孤児院がまたひどく、援助物資の横領を目的として運営されていたため食事も満足に与えられず、ムチ打ちなどの虐待が日常茶飯事。


そこを脱走し、放浪生活に入った牙ですが、捕えられて少年院へ送られます。

すると、そこには例によって関西弁のデブがいて、例によってパラシュート部隊の歓迎を受けます。


この辺は、ネタの使いまわしというより確立された作家性の発露ととらえるべきでしょう。

もちろん、そのデブも返り討ちにして少年院をシメる牙。


しかし、女子部の美少女空手家・火之原奈美に一目惚れし、彼女にブチのめされてさらに心酔、土下座して弟子入りします。

この奈美のツンデレっぷりはかなりのもの。名前も凄いし。
梶原一騎を、ツンデレの先駆者といっても過言ではないでしょう。


で、ツンにはデレが付き物なわけで、彼女には婚約者があり、この人に対してはデレになるのです。


婚約者への手紙を、脱走した仲間に託していたことを教官たちに知られた奈美は、教官たちから凌辱を受けそうになります。

そこに現れた、見るからに凶悪な面相をした片腕の男。


瞬く間にエロ教官たちを半殺しにすると、奈美を連れて脱走してしまいます。


そして、奈美に会いたい一心で牙もまた脱走。


浅草の街で奈美を見つけた牙ですが、彼女は教官に見つかり、見逃すかわりに肉体関係を強要されます。


二人が入った温泉マーク(ラブホテルなんていう言葉はまだなかった)に、彼女の婚約者を連れて押し入った牙ですが、すでに奈美は犯されていました。


婚約者にその場を見られた奈美は、舌を噛んで自殺。

牙は、手をチョキにして教官の目ん玉をえぐり金物屋で万引きしてきた出刃包丁で首を切り落とします。

※訂正:目ん玉えぐりは婚約者がやったものでした。


この「目つぶし攻撃」は「カラテ地獄変」シリーズを象徴するといっても過言ではない技法で、ギャグみたいにスポーンと目ん玉が飛び出す場面がその後も繰り返し登場してきます。ご記憶のほど。



教官殺しの罪で逮捕された牙は、少年刑務所に送られますがそこでも大暴れして独房入りに。

独房の中でカラテ修行を続け、三年後に出所したときにはいっぱしの人間兇器に成長していました。


人を殺して首を切っても三年で出られる、というのは少年法に守られているってやつなんでしょうか。


というわけでまだ続きます。