さあ、ゲームの始まりです

今日も今日とてネットカフェでの更新です。ドリンクバーうめぇwww


というわけで、こちらのエントリ。
http://d.hatena.ne.jp/samurai_kung_fu/20060918

功夫師による「パラダイス・ロスト」鑑賞評ですが、

みんな「パラダイスロスト」見てから松本サリン事件の河野さんや酒鬼薔薇事件の頃の週刊誌を賑わした『血まみれのゴミ袋を持った大男』を思い出してほしいものだ。

という一節にちょっとインスパイアされたので、本日の参考文献はこちら。

犯罪地獄変

犯罪地獄変

酒鬼薔薇事件の記憶も生々しかった1998年、「マンガ地獄変」で勢いづいていた水声社で、植地毅さんや大西祥平さん一派が出したムックです。

神戸連続児童殺傷事件を中心として、世間を震撼させた新旧の大事件について書かれていますが、ライター陣は、基本的に報道の人ではないので「世間を騒がせたあの事件と、そのときのオレ」的な書き方に終始していて見るべきものはあまりないのですが、97年上半期のマスコミの狂騒ぶりを伝える資料としては価値があります。



事件発生当初から、「黒いビニール袋を持った不審な中年男」が目撃されたとの情報があり、少年が逮捕される直前までその人物(マスコミはほぼ特定していた)が疑われていたのは、松本サリン事件での河野義行氏と共通するものがありますね。


また、この事件では、各マスコミが、思い思いの珍説を披露していたのも忘れがたいところです。

とくに東スポは、その見出しと折り目のマジックをいかんなく発揮し、センセーショナルな紙面を構成していました。

(以下、大文字部分は折ったときに見える部分)

  • 小6男児殺害容疑者浮上 (中略) 懸命の捜査当局
  • 今週中に逮捕する (中略) 有田芳生氏が断言
  • 酒鬼薔薇決定的酷似の米国人ロックバンド曲 (中略)これはもう完全なコピー犯罪だ

この三つ目の見出しでは、MEGADETHを「デスメタル」と評してメタルファンがあきれたのをご記憶の方も多いと思います。

ピース・セルズ・・・バット・フーズ・バイイング? (CCCD)

ピース・セルズ・・・バット・フーズ・バイイング? (CCCD)

これ聴いたら殺人犯になるんだったら、オレなんか100人は殺してないといけないはずなんですけどねぇ。



まぁ、この「犯罪地獄変」という本、酒鬼薔薇事件を報道した各誌の見出しを集めた章はかなり面白い(活字が小さくて目が痛くなるけど)ですが、他の部分ではちょっと粗いつくりが目に付きます。


名古屋の臨月若妻殺人事件を扱った章では、植地毅さんは「陣痛」と「つわり」を混同しているし、横溝正史の「八つ墓村」のモデルのひとつともなった津山30人殺しを扱った章では、アイカワタケシさんが、

横溝が現実の事件に材を採ったのは、この時が最初で最後であったという。

と書いてますが、これは明らかに間違い。

首 (角川文庫)

首 (角川文庫)

悪魔が来りて笛を吹く」では、帝銀事件をモデルにした天銀堂事件というのが登場しますし、「首」収録の中篇「花園の悪魔」ではメッカ殺人事件を引き合いに出しています。

意外と時事ネタに敏感な作家だったんですね。