愛を乞うひと
- 出版社/メーカー: エイベックス・トラックス
- 発売日: 2006/07/26
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今週は前後編の後編。
http://blog.livedoor.jp/hagakuresoh/archives/50539768.html
妖怪人間ベム―『ぼくら』連載漫画版 (マガジンZコミックスデラックス)
- 作者: 田中憲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/05
- メディア: コミック
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- 作者: 津島直人
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- メディア: コミック
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おっさんだったベムは悩める青年に、小学生ぐらいだったベロは幼児に、ケバい女の代名詞だったベラは耳のとんがった美少女になっています。
これなら萌えも可能でしょう。
しかし、テーマの重さはかなりのもの。
妖怪人間といえば「はやく人間になりたい」というフレーズが有名ですが、その実、彼らは人間に恐怖され、疎まれ、利用され、そして排除される存在です。
「人間になりたい」「人間でありたい」という、彼らの望みは常に裏切られる運命にあるのです。
彼らの思う「人間」と、実際の人間との間には絶望的な落差があるから。
「漫革」に掲載された最初の読み切りでは、ベムが中心でした。
ベムが望んでいるのは、人間としての誇りと尊厳。
しかし、彼らを生み出した戦争で荒廃した世界では、誇りや尊厳は真っ先に踏みにじられるものでした。
今週の掲載分で中心になっているのは、ベラ。
彼女が求めているのは、人間として、ベムと愛し合うこと。
軍に追われて潜伏した村で、ベラは一組の夫婦と出会います。
戦争で顔に傷を負い(包帯ぐるぐる巻き)、記憶も失った夫を、献身的に世話する妻。
その姿に、ベラはあこがれを抱きます。
しかし、彼女が憧れた愛も、実はまやかしに過ぎないものでした。
夜に井戸で顔を洗う夫の姿を見たベラですが、その顔に傷などありません。
実は、本物の夫はすでに戦死しており、今いるのはニセモノで、夫の戦友。
幸せな家庭の話をする夫に嫉妬していた彼は、妻の財産を目当てに、戦死した夫になりすまして入り込んだのでした。
しかし、財産は戦災によって失われていたため、妻を殺して逃亡するつもりだったのです。
秘密を知ったベラをも殺そうとするニセ夫ですが、変身したベラに返り討ちに。
そこに帰ってきた妻。
しかし、妻もまたニセモノでした。
実は、本物の妻はすでに戦災で死亡しており、今いるのは性悪な双子の姉。
幸せな家庭の話をする妹に嫉妬していた彼女は、亡くなった妹になりすまし、その家庭を奪おうとしていたのです。
ベムが求める誇りも、ベラが求める愛も、彼らの生きる、人間の世界では、踏みにじられるしかないもの。
もしかしたら、彼らがそれを踏みにじれるようになることが、人間になるということなんでしょうか。