退廃芸術展

OVA版の「HELLSING」、近所のレンタル屋でやっと見つけたので観ました。

HELLSING I [DVD]

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原作の、単行本一巻にほぼ匹敵する内容を50分にまとめています。
HELLSING 1 (ヤングキングコミックス)

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たぶん、原作を読んでない人が観たら何の話だかわかんないと思います。

一種の二次創作物と思って鑑賞するのが正しい態度かと。


芸術作品には、このようにサブテキストを必要とする作品もあるわけです。

現代美術というと「わけわかんねー」と感じる方も多いかと思います。わたしもよう知らんのですが、あれはちゃんと意味があるわけですよ。
デュシャン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)

デュシャン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)

たとえば、マルセル・デュシャンがそこらで買ってきた便器を「作品」として発表したのとか、ジョン・ケージが「4分33秒」という無音の曲を「作曲」したのとか。
ジョン・ケージの音楽

ジョン・ケージの音楽

こういった前衛芸術について、わたしなんかは「世の中にはそういうものもある」とゆるやかに受け取ることにしていますが、こういうのに反感を持つ人も少なくありません。グァルティエロ・ヤコペッティ監督によるモンド映画の元祖「世界残酷物語」では、イヴ・クラインによる「人体測定」というパフォーマンスを取り上げています。

ヌードモデルの体に青い顔料を塗布し、キャンバスに横たえてみたりして、女拓をとるというこのパフォーマンス。


このパフォーマンスは、人間が可視の存在から不可視の霊的存在への途上にある、という薔薇十字団の神秘思想の影響を受けた、深い意味の込められたものでした。

が、ヤコペッティはこれを欧州文明の堕落として揶揄するようなナレーション入りで紹介。
憤慨したクラインは心臓発作を起こし、数日後に死亡したのでした。


やっぱりねぇ、大の男が命をかけてやってることをおちょくるもんじゃないですよ。


で。



退廃した近代美術が大嫌いだった人といえば、やっぱり我らがヒットラー総統なわけですよ。

その総統がお亡くなりになった後、総統代行としてミレニアムの指揮をとる我らが少佐も、今回観たOVAには登場してきます。シルエットだけど。


原作に、少佐が顔出しで登場するのは、単行本で3巻から。
アニメの方は、2巻が8月に発売する予定ですがどうなることやら。

HELLSING II〈初回限定版〉 [DVD]

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有名な「諸君、私は戦争が好きだ」の演説が、飛田展男の声で聞けるのはいったいいつになるんでしょうか。