敵の敵は味方、敵と敵も味方?

三島由紀夫氏と親交の深かった澁澤龍彦氏は、「右翼的エロティシズムの極致は切腹であり、左翼的エロティシズムの極致は乱交になるのではないか」というようなことを言っておられました。

三島由紀夫おぼえがき (中公文庫)

三島由紀夫おぼえがき (中公文庫)

ジェンダーフリー→フリーセックスという理解の仕方の裏には、こういう日本人の心性にひそむエロス観があるのではないか、と思わされる一文です。


んで、こちらをご覧いただきますと、同性愛を異性愛と等価値のものである、とするのもジェンダーフリー教育であり、つまりはサヨクの陰謀なんだそうです。


えーと、共産圏では同性愛は「ブルジョア的退廃」として厳罰に処されてたと思うんですけど


1976年のことですが、共産党三鷹市議がハッテン場の旅館でロッカー荒らしをして逮捕されるという事件がありました。
このときの「赤旗」の記事では、

容疑者は以前は表面まじめに議員活動をしていましたが、他面、私生活ではいわゆる”ホモ”の習癖がある二重人格者でした。
<中略>
党にかくれて赤坂、新宿などの盛り場で深夜喫茶店に出入りし、そこで知り合った友人と、男同士のいかがわしい関係を続けるという、きわめて異常、異質な二重人格的な私生活をつづけていたことです。

こんなふうに書いて、ホモだったということを強く糾弾し、窃盗の方はどこかへ行ってしまっていました

このとき、「薔薇族」の伊藤文学編集長は、

僕としては、彼がホモでありながら、ホモの人の弱みにつけこんで、ホモの人だけから金品を奪っていたという、卑劣な行為こそ糾弾されるべきだと思うのです。

と書いておられました。なんだか異様なリズムの文章ですが、この文章の「ホモ」をいろんな言葉に置き換えても通用しそうですね。


ちなみに、この事件を報じた「週刊読売」の見出しは、


「ホモは泥棒のはじまり」


でした。

・・・すごいなぁ。


世の中を「敵」と「味方」に分けてしまう、というのは大雑把に過ぎる分類です。
それぞれが特性を持ち、互いに敵対していたり対立していたりするものを、「自分にとって好ましくない」という共通点だけで一緒くたにしてしまうというのは、それこそカルトの典型ですね。


そういえば、右系・左系どちらを見ても、「やつらのバックには○○○○が付いてるんだぜ」という共通した物言いを目にするなぁ。オールマイティっつうか、デウス・エクス・マキナってやつですか

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