ボーイズ・ドント・クライ

まぁzakzakの記事にいちいちツッコむのも無粋かとは思いますが、コレはあまりにもヒドいのでちょっと黙っていられないなぁ。


http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20110627/enn1106271606017-n1.htm

NHK衝撃、ナマ告白!有働アナ“同性愛”信者だった

 V6の井ノ原快彦(35)とともにNHK「あさイチ」(月〜金曜、午前8時15分)の司会を務める有働由美子アナウンサー(42)が、またまた朝からぶっとんだ発言で注目を集めた。マンガの特集で、男同士の同性愛を描いた「ボーイズ・ラブ(BL)」の信者であることを告白したのだ。


 有働アナといえば、同番組中に、脇にかいた汗ジミが見苦しい−という苦情ファクスを自ら紹介して堂々と謝罪、また、あるときは番組前の朝ドラでボロボロに泣きながら番組をスタートするなど、天真爛漫ぶりが注目の的。24日の放送でも、NHKアナのタブーを打ち破るような告白があった。


 この日はマンガの特集で、最近はやりの「BL(ボーイズラブ)コミックス」を扱う書店や、男性同士のセクシー画像を紹介。そして有働アナ自ら、「あたしBL読んでる。男女の恋みたいに簡単に結ばれないから切なくて良い!」と熱い支持を表明したのだ。


 朝っぱらから、ケシカランという声が殺到するかと思いきや、インターネット上には、「理解ある発言」「よく言った」と同好の士からの好意的な意見が目立った。


 四十路の独身アナもハマるこのBLブーム、知らぬはオヤジ世代ばかりのようで、いまどきの恋愛事情にくわしい作家の内藤みかさんは、こう語る。


 「有働アナに限らず、最近になって『実はBLが好き』とカミングアウトする女性をちらほら見かけます。震災がきっかけで『好きなことは素直に好きだと言おう』という風潮になりつつあるのかもしれません」


 それにしても、なぜ同性愛マンガが、それほどもてはやされるのか。内藤さんが続ける。


 「BLの、大きな特徴としては、主に女性が楽しむ読み物だということです。そして登場人物が美形であることが多いのです。学園もの、サラリーマンものなど多彩なジャンルがあり、愛情表現もキスもしないケースから、性行為もあるハードなケースまでさまざまです」


 「BLには制限があります。一般カップルでは当たり前のことができません。男同士なので手をつなぐことすら街では難しいのです。手をつなぐどころか告白もできず、恋心も秘め、ひたすら良き友人としてふるまうという設定も多いため、せつなく感じる女性も少なくないでしょう」


 お父さん、理解できました? できない? 私もです。

見出しからシメまでぜんぶ偏見のカタマリみたいな記事ですね。なんだよ「”同性愛”信者」って。単に腐女子だったってだけじゃねえかよ。「理解できない」で終わらせんなよ。そこを理解できるように書くのがアンタらの仕事と違うんかい。
それに、読んだだけで”信者”呼ばわりされるほど、BLは今の出版業界で異端ではないと思うんですけどねぇ。だいたい、美少年どうしの同性愛漫画が女性にもてはやされるようになったのは、そんなに新しいことではありません。

風と木の詩 (1) (中公文庫―コミック版)

風と木の詩 (1) (中公文庫―コミック版)

竹宮惠子の『風と木の詩』が連載開始されたのは1976年だし、その二年後の1978年には、「薔薇族」編集部を女子高生が訪問して「将来はホモの美少年と結婚したい」と語り、伊藤文学編集長をおおいに嘆かせたこともありました。
『薔薇族』編集長 (幻冬舎アウトロー文庫)

『薔薇族』編集長 (幻冬舎アウトロー文庫)

伊藤編集長を嘆かせた女子高生たちも、いまは五十歳ぐらいになっているはずです。このzakzak記事で仮定しているところの「お父さん」たちの配偶者にだって、同性愛漫画に熱中した人はいるでしょうね。「あなたの奥さんも腐女子かも?」と煽るやり方もアリといえばアリでしょうが、この記事を書いたライターはそこまで頭が回らなかったようです。



やおい・BLは現実の同性愛とはまったく関係ないファンタジーであって、それを愛好したからといって同性愛を理解したことにも、ましてや”信者”と呼ばれることにもなりません。