ザ・コブラツイスターズ
子供の頃からテレビっ子だったわたしですが、ドラマというものはほとんど観ていません。
なので、同世代の友人知人と話しているとときにすごいギャップを感じることもあります。
「『101回目のプロポーズ』面白かったよねー」とか言われても、「竹内力がエリートサラリーマンだったんでしょ?」としか返せないし、「『ひとつ屋根の下』感動したよねー」とか言われても、「清水紘治がお医者さんの役なんでしょ?」としか返せません。
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そんなわたしですが、唯一、観て泣いたことのあるドラマがあります。
それは、「毎度おさわがせします」それも「Ⅲ」です。
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わたしが見たのはリアルタイムではなく、10年ほど前に地方で再放送されたものでしたが。
さて、この作品のどこにそんな泣けるポイントがあるのか。
堀江しのぶのおっぱい?
いやいや、たしかにあの美しさが永遠に失われたことは悲しむべきことですが、ここではそのことには触れません。
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それは、藤波辰巳の苦悶の表情です。
「毎度おさわがせします」では、毎回の下ネタ(主にチ○コ方面)に加えて、乱闘シーンが呼び物となっていました。
パート1とパート2では、当時人気絶頂だったクラッシュ・ギャルズと極悪同盟が登場し、毎回の乱闘に華を添えていたのですが、パート3では新日本プロレスに交代。
当時の新日本は、選手の大量離脱によってジリ貧になっており、マシン軍団や海賊男、「ギブアップまで待てない!」やTPGなど様々なアイデアを出してはアイデア倒れになっていた冬の時代でした。
辰つぁんにしても例外ではなく、迷曲「マッチョ・ドラゴン」を出したのもこの時期でしたね。
そんな時期の苦し紛れのアイデアのひとつとして、アイドルとの共演というのがあったわけです。
この作中の世界では、どういうわけか新日本の道場でおばさんたち*1を集めてエアロビを教えており、山本小鉄がワンツーワンツー言いながらエアロビ指導するという超シュールな映像が拝めました。
しかもそのすぐ横のリング上では、藤波辰巳がまだ18歳の船木誠勝*2相手にスパーリングを行っているというのだからもう何がなんだかわかりません。
そして、例によって高田純次が浮気したのなんのといって乱闘になり、プロレスファンの間では神聖視されている新日道場を舞台に、おばさんたちとレスラーが入り乱れて大暴れするという悪夢のような事態に発展。
そこでわたしは見てしまったのです。
おばさんにコブラツイストをかけられて悶絶する藤波辰巳の姿を・・・!
思えば、藤波という人はこんなやるせないシーンが多い人でした。
藤原組長の乱入で試合をぶち壊しにされ、雪の振る札幌中島体育センターからタイツ一枚でタクシーに乗って出て行った辰つぁん。
猪木に4の字固めをかけて、「社員のくせに社長の足を折れるのか」と恫喝された辰つぁん。
長期欠場からの復帰戦で、箸にも棒にもかからないインチキ空手家との異種格闘技戦を組まれて途方に暮れた辰つぁん。
そんな中でも、この「おばさんにコブラツイストをかけられる辰つぁん」は落涙必至のやるせなさです。
こういう苦労を経験してきた人だから、いまどき逆さ押さえ込みやグランドコブラでフォールを奪ってもお客が納得するわけですね。
やっぱり、プロレスは人徳ですよ。