三大怪人・史上最大の決戦

三大怪獣 地球最大の決戦 [DVD]

三大怪獣 地球最大の決戦 [DVD]

東宝特撮の名作といわれるこの作品とは、何の関係もない「三大怪人・史上最大の決戦」という映画があります。

スペインのジェス・フランコ監督によって作られたこの映画。
ドラキュラ・狼男・フランケンシュタインの怪物というユニヴァーサル社三大モンスターを揃い踏みさせたのはいいものの、脚本と台詞が存在しないというアバンギャルドな内容(ストーリーは、フランケンシュタイン博士の日記をナレーションとして説明される)でサイテー映画として知られています。


なぜか、この映画が今頃になってDVD化されることになりました。

しかも、発売元は「真・女神転生」のアトラス。どういうわけかゲームメーカーがユーロ・トラッシュ映画を発売するという意味不明の行動です。社長に悪魔がとり憑いたのでしょうか。


同じような怪人揃い踏み映画としては、エド・ウッドの「プラン9・フロム・アウタースペース」や、そのスペイン版無断リメイク「モンスター・パニック怪奇大作戦」、ジョン・キャラダイン主演の「ビリー・ザ・キッド対ドラキュラ」、アル・アダムソン監督の「ドラキュラ対フランケンシュタイン」などが有名ですが、日本ではなんといっても藤子不二雄A先生のこの漫画でしょう。

狼男の「○○でがんす」という話し方が、盛岡弁だと思うのはわたしだけでしょうか。

それはさておき、この巻には妙にコクのあるプロレスもののエピソードが収録されています。


エジプトのミイラ男が怪物くんを訪ねてくるのですが、そこに怪しげなプロレス団体の代表が現れて、ミイラ男を連れて行こうとします。

実は、その団体には「ミイラ男」というレスラーがいるのですが、試合直前に逃げ出し、探していたところだったのです。

怪物くんは、「面白そうだからいっちょやってこい」と本物のミイラ男を試合に行かせるのですが、ちょうどそこにレスラーの方のミイラ男が現れます。
このミイラ男、顔は隠していますが目に覇気がないので一見して情けない感じです。

なんで逃げたのか、話を聞く怪物くん。
ミイラ男の包帯を解くと、素顔はかわいい童顔でした。
「この顔じゃハッタリがきかないので、こうやって顔を隠してるんでやす」
というミイラ。
「ワスは元ふんどしかつぎの相撲取りでやした。いつまで経っても芽が出ないので思い切ってプロレスに転向したんでやすが、やっぱり負けてばかりでやす」
妙にリアリティのある経歴です。
で、こけおどしのギミックで多少は人気が出たものの、しょせん実力がないのでいつも無様な負け役専門。そんな毎日がいやになり、プロレスを廃業して田舎に帰るつもりで飛び出してきたのだ、と語るミイラ男。


なんか、ちょっと前のインディー団体にはこういう人がいっぱいいたような気がします


で、怪物くんはそんなミイラ男をなだめ、「今日の試合は本物のミイラ男が出るから、その戦いぶりを見てからにしよう」と会場に連れて行きます。

試合が始まりましたが、さすがに本物のミイラ男は強い。
なにしろ不死身ですから、無類のタフネスであらゆる攻撃を受け切り、攻撃のパワーも、なにしろ怪物ですからすごい。
包帯を使っての攻撃というギミックも、なにしろ本物ですから板についたもの。お客さんは大興奮です。


そんな戦いぶりを見ていた(レスラーの方の)ミイラ男に、「どんな気分だ?」と聞く怪物くん。
場内の歓声を聞いていた彼は、
「うう、この声を聞いていると、なんだか興奮してくるでやす。

ワスは、やっぱりプロレスが好きなんでやす!
と、後の大仁田厚のようなことを言い、「もう一度、死ぬ気で頑張ってみるでやす」と、場外乱闘の隙に入れ替わって、リングへと復帰するのでした。


・・・昭和40年代の子供向けとしては、ちょっとシブ過ぎるんじゃないですか、藤子A先生