激突! 合気道

沖縄で発生した、在日米軍属による女性殺害事件を受けて、保守派の人々がまたいろいろひどいことを言っていますが、落選した元議員でいまは無職の中山成彬によるツイートがまたひどい。






強く美しく気高い大和撫子(と、それにかしずかれる日本男子)という幻想への郷愁を全面的に開陳したキモいツイートで、被害者が弱かったからいけないのだと言わんばかりの倒錯した道徳観も、いかにも現代日本の申し子という感じで今さら驚くには値しませんが、それにしても、日本武道協議会に出てるくせに、あまりにも武道というものを舐めすぎています。


学校の授業でちょっと教わった程度の護身術とやらで、本格的な殺人術を身につけた海兵隊あがりの男だとか、(これは昨日のエントリに関連する話になるが)全国大会に出場したレベルの柔道経験者だとかを、逆にやっつけられるわけがない! 柔道や軍隊格闘術をあまりにも軽視しています。


それに、「柔道と剣道が殆ど。空手、合気道少林寺拳法を増やしたい」というのも、全柔連が抗議すべき発言です。だってね、「柔道は空手や合気道少林寺拳法より弱くて役に立たない」って言ってるのと同じですよ。

喧嘩稼業(7) (ヤンマガKCスペシャル)

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ちなみに、『喧嘩稼業』では柔道の関(国民栄誉賞をとった金メダリスト)、空手の上杉(喧嘩王、と呼ばれる達人で完全版の煉獄を使いこなす)、合気道の芝原(末期がんで余命一年だが球体すら倒せる達人)、少林寺拳法の三代川(二重人格が入れ替わると強くなるが、曲者ぞろいの陰陽トーナメントではキャラ的に弱い)がトーナメントに参戦していますが、いまのところ、まだ彼らは戦っていません。現時点での試合は「忍術vsヤクザ」、「日本拳法vs卑劣漢」だけです。このまま進むと「空手vs合気道」や「柔道vs軍隊格闘技」も出てくるので、達人の柔道と軍隊の殺人術のどちらが強いかは、いちおうの答えが出そうです。でもなあ、どこで山本陸が乱入してトーナメントをめちゃくちゃに破壊するかわからない、という危険もこの漫画にはあるからなあ。


あとね、中山無職は「学生時代に合気道をやった」とのことですけど、これって愛国者として致命的なキャリア上の欠点ですよ。



合気道は、創始者植芝盛平大本教の熱心な信者で、その精神性において大本の影響を強く受けています。
そして、大本教はその教義が国家神道と相いれないことや、政治権力の中枢に食い込もうとしたこともあって、不敬罪治安維持法違反により徹底的な弾圧を受けた、「非国民」の代表みたいなものですよ。

大本襲撃―出口すみとその時代 (新潮文庫)

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そんな宗教の流れを組んだ武道をやったなんて、明らかに反日勢力とのつながりじゃないんですかね。



……えっ? 理屈にムリがありすぎるって?


そんなもん、中山無職の理屈に比べれば可愛いモンだよ。



一般に「軍属」というのは軍隊に所属していても軍人でない人物(文官とか技師とか)を指します。ガンダムでいえばアムロのお父さんとか、塩が足りないと嘆いていた料理長とかですね。

(あの料理長、ア・バオア・クーでは何やってたんだろう……)



しかし、日米地位協定による定義は違っていて、「米軍基地で働く民間アメリカ人」のことを「軍属」と呼ぶことになっています。自衛隊についての呼称とは違うんだってば。そもそも自衛隊は軍隊じゃないはずだろ!!!!