黒帯の重み

昨年、ブータン国王が来日したとき、講道館が技量の審査なしで初段を授与しましたが、「義理許し」はなにも王族の特権ではなかったようで。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120116-OYT1T00173.htm

愛知の柔道教員、6日で黒帯…30年間全員合格

 愛知県教育委員会が県柔道連盟へ委託し、中学、高校の体育教員を対象に2年に1度開いている柔道の指導者講習(計6日)で、30年近く、受講者全員に段位(黒帯)が授与されていたことがわかった。


 柔道の総本山・講道館(東京都)によると、黒帯の取得には「平均でも2年程度かかる」というが、愛知の場合は短期間の上、審査も一般の昇段試験と違って試合の勝敗を考慮していない。関係者からはこうした段位認定のあり方を疑問視する声が出ており、講道館でも実態を調査する方針だ。

          ◇

 同県教委によると、体育指導の質の向上を目的に1984年頃から、柔道経験がほとんどない「白帯」の体育教員を集めて講習を実施。

 1年目は受け身などの基礎、柔道の歴史・理念、安全管理を学ぶ「指導者養成講習」(2日間)、その1年後に実戦や審判などを経験する「段位認定講習」(4日間)という内容で、毎回30人程度が受講している。

 これまで全受講者が段位審査で“合格”し、黒帯を取得していることに、県柔道連盟は「柔道ではほぼ初心者だが、体育教員としての運動能力はあり、6日間で全員が初段程度のレベルに達している。講習内容も十分で段位認定に問題はない」と説明。県教委も問題はないとの考えで、「段位はあった方が、無いよりは充実した指導ができる」として、学習指導要領の改定で柔道などの「武道」が必修化される新年度は受講者枠を44人に増やす方針だ。

そんな指導で大丈夫か?


柔道は一撃必殺の威力を持つ危険な格闘技であり、とくに受け身は重要です。たった2日の訓練で身につくものではありませんし、その一年後に実戦を経験するという謎のカリキュラムにも疑問が絶えないところです。


それより何より、格闘技の世界では実力が全てのはず。なのに、教師だからといって特別扱いするのは、明らかに武道の精神に反しています。


武道を必修科目に加えるのならば、まずは指導者の育成が先のはず。教えられる先生もろくにおらず、受け身をしっかり身につけるだけの時間もとれない状況で武道を必修にしたら、事故が続出しそうですね。安全性を考えるなら、投げ技なしのブラジリアン柔術か、あるいは型のみの伝統派空手にした方がいいと思いますけどねぇ。無理に武道を必修化するより、やはり精神的なものを鍛え、国体を復活させる方が先ですよね