“神の左”の行方

WBCバンタム級王者、山中慎介の次戦が発表されました。


http://boxingnews.jp/news/34265/

山中慎介がソリスとV10戦、3.4京都で木村悠とダブル

 帝拳ジムWBC世界チャンピオン、バンタム級山中慎介とL・フライ級の木村悠が19日、東京・九段下のホテルグランドパレスで記者会見し、3月4日に島津アリーナ京都でダブル世界タイトルマッチ(ワールドプレミアムボクシング23)を行うと発表した。


 滋賀県出身で南京都高(現京都廣学館高)入学と同時にボクシングを始めた山中(24勝17KO2分)が「自分のボクシング人生の原点」という京都で10度目の防衛戦を迎える。挑戦者には同級3位で前WBA世界S・フライ級王者のリボリオ・ソリス(ベネズエラ=23勝10KO3敗1分)を迎えた。


 ソリスについて山中は「右ストレートというよりもフックやアッパーが得意な印象。中間距離からのフックとアッパーに気を付けたい」と分析した上で「前回は判定だったので今度は倒したい。一発で倒すのが自分の持ち味でもある」と3試合ぶりの“神の左”炸裂を宣言した。

リボリオ・ソリスといえば、リンク先にもあるように、2013年に亀田大毅とズンドコ劇を演じて、日本のボクシングファンに強い印象を与えたボクサーであります。


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このときは、計量を断念してヤケクソでペットボトルの水やコーラをがぶ飲みし、対戦相手や運営に悪態をつくという大問題児ぶりを見せつけ、試合前から亀田家がもう形無しというところでありました。亀田一家が日本から追放されるきっかけになった試合でしたが、肝心の実力はというと、山中が前の試合で大苦戦したアンセルモ・モレノに比べると一枚落ちるかな、というのが正直なところです。山中優勢、といっていいでしょう。


いまの日本ボクシング界には、世界王者が何人もいますが、その中で実力的に抜きんでた四天王を選ぶとしたら、私見ですが

というところでしょうか。
八重樫東は実力的には遜色ないが、彼らとはちょっと路線が違う)


このうち、WBAスーパーフェザー級スーパー王者の内山は、もとWBAフェザー級スーパー王者“アックスマン”ニコラス・ウォータースとの対戦が有力視されていますし、WBOスーパーフライ級王者の井上尚弥は“パウンド・フォー・パウンド”の名をほしいままにするWBCフライ級王者ローマン・ゴンサレスとの対戦が熱望されています。WBAフライ級王者の井岡は北京五輪金メダリストのゾウ・シミンとの対戦が浮上しており、実現するかどうかは別にして、ビッグネームと対戦する今後のプランが、彼らにはある程度できています。


しかし山中の場合は、かつて対戦を熱望していたレオ・サンタ・クルスバンタム級から2階級上のフェザー級まで転級してしまい、対戦の可能性はほぼなくなりました。
(なお、サンタ・クルスは昨年、宿敵アブネル・マレスとのすさまじい打ち合いを征し、WBAフェザー級スーパー王座&WBCフェザー級ダイヤモンド王座を獲得している)


それでは、と世界に目を向けても、すでに元WBAスーパー王者アンセルモ・モレノとの対戦を征した山中に、さらなるビッグネームとの対戦というプランが見つからないのが現状なんですよね。モレノからスーパー王座を奪取したフアン・カルロス・パヤノにしても人気はいまいちだし、WBAレギュラー王座ジェイミー・マクドネルも人気はあくまで英国ローカル。亀田兄弟唯一の生き残りである亀田和毅も、兄たちの引退によりすでに商品価値はゼロ以下だし、そもそも日本のリングに立てない相手をわざわざアメリカまで追う理由がありません。すでにバンタム級に敵なし、といえば聞こえはいいですが、そもそもいまのバンタム級戦線にスーパースターが少ない、という事情も災いしているといえるでしょう。


となると、階級を上げて2階級制覇を目指すのもいいのではないか、と、ファンとしては思ってしまいます。スーパーバンタム級にはギジェルモ・リゴンドー、カール・フランプトン、スコット・クイッグ、そしてノニト・ドネアと強豪がしのぎを削っており、対戦が実現すれば盛り上がること必至です。ただ、帝拳ジムは複数階級制覇にあまり積極的でない傾向があるので(これまで2階級制覇を達成したのは粟生隆寛のみ)、実現性は薄いと言わざるを得ません。



まあ、いずれにしてもまずは目の前にいる敵を撃破することです。こんな先のこととか早まったことばかり考えていたら、足元をすくわれるのが勝負の世界というものですからね。いや別にオレが戦うわけでもなんでもないんだけど。とにかく、一撃必殺の“神の左”に今回も注目!