お化けは死なない 病気もなんにもない

帰宅したら、家族が「水木一郎が亡くなったぞ」というのでびっくりしましたが、水木しげるの間違いでありました。


漫画家 水木しげるさん死去 NHKニュース 漫画家 水木しげるさん死去 NHKニュース
NHKでは、いろんな人のコメントを紹介していてさすがの取材力だと思いました。きっと葬儀委員長は京極夏彦がやるんだろうなぁ。


水木漫画の魅力については多くの人が語っているので、ぼくごときが付け加えるのは避けますが、『ゲゲゲの鬼太郎』主題歌で「おばけにゃ学校も試験もなんにもない」と謳っておきながら(作詞は水木しげる)、ねずみ男は「怪奇大学不潔学科卒」という設定にしてしまう(経歴詐称説もあるが)ルーズさが魅力でありました。近年は、設定に矛盾があると「いんだよ細けえことは」と強引に押し通す作品が多いですが、平松伸二作品がド外道への怒りを原動力にして細かいことを吹っ飛ばしているのに対し、水木作品が持つルーズさの根底には「人生なんて生きてさえいればそれでいいんです」という無限の肯定があったと思いますね。


これを歌った熊倉一雄も先ごろ亡くなり、そして水木しげるも亡くなりました。しかし鬼太郎や悪魔くんといったキャラクターたちは永遠に生き続けることでありましょう。「ご冥福」ってのもいまいち水木サンにはそぐわない。亡くなったとはいっても水木サンの場合だと、ちょっと隣の路線に乗り換えたぐらいの感じだなぁ。

ちなみに、うちの家族が間違えた水木一郎は、多くのアニメ主題歌のカバーバージョンも披露しています。かつて日本のアニメソングはレコード会社ごとの壁が高い業界で、版権の事情によりオリジナル版とは別の歌手による歌唱が収録された、各レコード会社によるオムニバス盤が多数存在いたしました。水木一郎も、本来の持ち歌以外に『機動戦士ガンダム』とか『戦闘メカザブングル』とか『銀河旋風ブライガー』とかのテーマ曲を歌っておりましたが、さすがに『ゲゲゲの鬼太郎水木一郎バージョンは存在していないもようです。