男性同士のイヤな感じ、正体は「マウンティング」

 男友達と楽しく格闘をしていたはずが、ふとしたきっかけで暴力のゴングが鳴る──。上から打ち込まれるパウンドや過剰なひじ打ちに、イラッとしたりモヤモヤしたり。男性同士の格闘に起こる不可思議な“違和感”の正体を徹底分析します。

自分の優位を確認したいその気持ちが格付けを生む

 他愛もない男性同士の格闘で、ふと感じるつかみどころのない“違和感のあるポジショニング”にモヤモヤ……。格闘を楽しみたいのに、なぜか心が疲れる。そんな経験を持つ人も少なくないのでは?


 「もしかしたら、その正体はマウンティングかもしれません」。そう話すのは、“マウンティング男子”の名づけ親でプロレスラーのカール・ゴッチさん。「決定的な有利性を感じたいために、自分のほうが上だとアピールする」マウンティングは、男性同士に起こりやすい現象だという。ジャーナリストの竹内宏介さんは、その理由をこう分析する。


 「社会的な地位や収入で単純に格付けが決まる一般人と違い、格闘家は、打撃や寝技のルール、ひじ打ちの有無や道着の裾の使い方、ギャラの額など、いろんな“強さ軸”が入り混じります。『あの人は柔術青帯だけれど、私は空手二段で黒帯で強い』というように、置かれた環境で価値観も変わるため、強さの基準が曖昧で移ろいやすい。だからこそ、自分の立ち位置を常に確認しようと他人に馬乗りになったり、マウンティングで自分の優位を相手に認めさせたりしたいのでしょう」 

「マウンティング」って何?

 本来は、犬などの動物が自らの優位性を示すために、相手に馬乗りになる行為を指す。その様子が“自分のほうが強い”とアピールする格闘家の人間関係に似ていると、「プロレスの神様カール・ゴッチさんが表現。立ち技などの明らかな対立と異なり、ふとした隙や体勢の崩れがきっかけとなって、生命の危機になる程度に顔面を殴る。1993年にホイス・グレイシーが優勝した『第一回アルティメット大会』(コロラド州デンバーにて開催)で話題に。

 また、根底には「自分への自信のなさがある」とゴッチさん。

 「マウンティングをするのは、自分に自信がない証拠。格闘のなかでコンプレックスを感じる事柄に触れたとき、“ひっくり返されたくない”という焦りから、勝てそうな体勢を強引に出してくる。“ガード・ポジションは娼婦の姿勢じゃない”と自分を納得させているケースも」 

(ゴッチさんと竹内さんは霊言にて参加していただきました)
※元ネタ:女性同士のイヤな感じ、正体は「マウンティング」  :日本経済新聞 女性同士のイヤな感じ、正体は「マウンティング」  :日本経済新聞

女は笑顔で殴りあう:マウンティング女子の実態 (単行本)

女は笑顔で殴りあう:マウンティング女子の実態 (単行本)

(ちなみにこの本は「女は笑顔で殴りあう」と題しているが、村田諒太は笑顔で相手を殴るし、青木真也は笑顔で人の腕を折る)



もうねー、最近は「マウント」というとこういうイヤらしい人間関係のウジウジしたアレコレになっちゃって、ホントにイヤなんですよね。

ブラジリアン柔術―セオリー&テクニック

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そんなにマウントしたかったら柔術をやれ柔術を! と言いたくなる。なお、グレイシー柔術が日本に紹介された1993年当時は、このポジショニングを「つまらない」「試合がしょっぱい」と酷評するオールド格闘ファンも少なくなかったものですが、今ではすっかり一般に広まり、こんな女子用語にまで進出しているのですから、まさに隔世の感というところです。