奇跡の価値は

面白そうな本が出ます。

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

日本の軍歌 国民的音楽の歴史 (幻冬舎新書)

 軍歌は、日本史上、最も国民の心を掴んだ音楽だ。初めての軍歌「来(きた)れや来(きた)れ」が登場した一八八五年から終戦の一九四五年までに作られた曲は一万超。軍歌は、政府にとって国民を戦争に動員するための道具であり、国民には最も身近な娯楽、レコード会社・新聞社・出版社には、確実に儲かる商品だった。一九三七年の「露営の歌」は約半年でレコード売上六〇万枚超の大ヒット。一九三八年のミリオンセラー「愛国行進曲」は、第二の国歌といわれる定番曲となった。そこには、今では怖いイメージがつきまとう軍歌のまったく違う姿がある。誕生から末路まで、史上最大の大衆音楽の引力に迫る。

軍歌というと、リベラルな人からは忌み嫌われ、逆に保守的な人からはやたらと神聖視されたりしますが、そういう価値観を離れてエンタメとしての軍歌を評する本です。
んで、著者の辻田真佐憲氏が、本には載らなかったこぼれ話をWEB連載しています。これがまた面白い。


辻田真佐憲 戦前日本にはなぜトンデモ軍歌が溢れていたのか<軍歌を見れば、日本がわかる> - 幻冬舎plus 辻田真佐憲 戦前日本にはなぜトンデモ軍歌が溢れていたのか<軍歌を見れば、日本がわかる> - 幻冬舎plus


軍歌といっても、軍や行政によって作られた歌はあまり多くなく、現代に伝わっているものの多くは、民間企業が戦争ムードに便乗して作られた商品でした。たくさん作られた中には、名曲として歌い継がれたものもあれば、消え去っていったトンデモ楽曲も多くあったのです。ここで紹介されている“爆弾位は手で受けよ”は、そのタイトルのインパクトもすごいし、実現不可能な目標を気力で何とかさせようとする、日本にいまも残るブラック体質をよく表しているといえますね。


実際に爆弾を手で受けられるのは、黒い天使ザ・松田ぐらいのモンです。

ブラック・エンジェルズ12

ブラック・エンジェルズ12



ちなみに、ここで死んだものの「いんだよ細けえことは」の名台詞とともに復活した松田さんは、のちにはジャンボジェット機素手で受け止めてました。



あと、爆弾を素手で受け止めるというと、『エヴァンゲリオン』の第8使徒(テレビ版でいう第10使徒サハクィエル)との戦いを思い出す向きも多いかと思います。

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ミサトさんにこの作戦を提示されたとき、アスカはその乱暴さに驚いていたモンですが、NERVも旧日本軍の流れを汲んだ組織だと考えれば、その発想が出ても不思議ではない、と言ってもいいかもしれませんが、別に庵野さんはこんな歌なんて知らないよね。