ワード・オブ・キラーズ
NHKの討論番組で、共産党の藤野保史政策委員長が防衛費のことを「人を殺すための予算」と表現して批判されました。これで藤野議員は党の政策委員長を辞任していますが、安倍総理は「自衛隊員への謝罪がない」とさらにヒートアップしておるもようです。
まぁそれはともかく、防衛予算で買う武器だの弾薬だのミサイルだのが「人を殺すため」以外の存在意義を持つものでないことはたしかであります。とはいえ、さすがに言いようというものがある、という指摘も無視はできないでしょう。
ところで、これは3年前の話なんですけど、イギリス王室のヘンリー王子が、攻撃ヘリ射撃手としてアフガニスタンに派遣されたとき、タリバン兵士を「殺害した」と報じられたんですよね。
英ヘンリー王子、タリバン兵殺害を告白—国内に衝撃、報復の恐れも - WSJ
その行為に賛否両論が寄せられるのは当然だと思いますが、ぼくはこのとき言葉の使い方として、軍人が敵を殺すことを「殺害」と表現するのはちょっと違和感があるというか、ネガティブな意味づけを感じたんですよね。
とはいえ、メディアで「殺す」と表現するのも、ちょっと荒っぽくて違う気がする。
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わが国では太平洋戦争時、大本営発表で部隊の全滅を「玉砕」と言い変えることで、その勇猛果敢さをアピールするとともに、兵士たちを見殺しにした上層部への批判をかわす効果を得ておりました。
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自衛隊の目的はあくまで国土と国民の防衛である、という建前をあくまで守るとしても、戦闘行為により人が死ぬというのはどうしても避けられない事実です。
ならば、「人殺し」とか「殺害」とかという言葉をメディアに載せないように、全滅を「玉砕」に置き換えるような、新しい言葉が必要になるんじゃないですかね。「撃破」とか「打倒」とか、あるいは「活動停止」とかその辺になるんでしょうかね。「言葉狩り」の行きつく先がどこになるのか、注目していたいところです。