プロレス少女伝説

女子プロレスアニメ『世界でいちばん強くなりたい!』第1話を、ニコニコ動画の配信で見たんですよ。



これプロレスじゃないよ。キャットファイトだよ。
まぁ言うても萌えアニメですし、ケンドー・ナガサキ流に言うなら「ま、こんなもんでしょ」といったところですが、女子プロレスの現状を思うと複雑なものがあります。


主人公のさくら(声はあずにゃんの人)は、国民的アイドルグループ「スウィートディーバ」のセンターを務める人気者ですが、テレビの企画でプロレス団体「ベルセルク」の道場に体験入門し、そこで親友のエレナをボコボコにされたうえに「アイドルなんかくだらん」とレスラーの挑発を受けて、カベジェラ・コントラ・カベジェラでリングに上がる羽目に陥る……というお話。


そんなモン事務所が許さんやろ、というツッコミは「ガンダムは宇宙なのにビームライフルの音がする」ってのと同じだと思うことにしましょう。なんでマネージャーが付いてきてないのか、というツッコミは「吉川英治三国志では張コウが三回戦死する」ってのと同じだと思うことにしましょう。

三国志〈4〉臣道の巻 (新潮文庫)

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このアニメでは、女子プロレス団体「ベルセルク」はかなり人気があるようで、道場もすごく立派でお金持ちっぽい雰囲気です。実在する団体、スターダムとコラボしているという本作ですが、ロッシー小川がお金持ちだという話はあんまり聞いたことないなぁ。
実写ドラマになった『ここが噂のエル・パラシオ』では、団体は潰れかけていて道場も廃工場みたいなところだったので、妙なリアリティはあったのですが、まぁこっちはアニメなんだから現実に縛られずに景気よくやってくれてもいいですわな。

ここが噂のエル・パラシオDVD-BOX(5枚組)

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国民的アイドルがリングに上がるというので、後楽園ホールのチケットは完売、団体のオフィスにまでチケットを求めるファンが押しかけるというから何とも景気のいい話です。『プロレススーパースター列伝』のスタン・ハンセンvsハルク・ホーガン戦を思わせる場面ではありますが、ファイトマネーをいくら払っているんだろうという疑問は「サードインパクトで世界が崩壊したのに誰が空中戦艦を作ったのか」という疑問と同じだと思うことにします。現実の世界に例えるなら、小嶋陽菜が「有吉AKB共和国」のロケで新小岩にあるスターダムの道場へ体験入門に行って、同行した指原莉乃世IV虎にボコボコにされ、怒りのあまり髪切りマッチを承諾する、という感じでしょうか。有吉大統領が「何だよこの茶番劇」と言うのは確実ですが、このアニメにツッコミ役はいないので、まぁ仕方ない。アントニオ猪木流に言うなら「おめえはそれでいいや」ってところでしょうか。


こういうズンドコの味わいは、間違いなくこのアニメでは出ないでしょうね。っていうか、そんなの原田久仁信の漫画ぐらいでしかお目にかかれないけど。

劇画 プロレス地獄変

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