煩悩が鐘で消えるかァァ 己で制御しろ己で
さて、『パシフィック・リム』の話ですけどね。
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だって、巨大な怪獣と巨大ロボットがガンガン殴り合いをする映画ですよ。着ぐるみ特撮でもコマ撮り特撮でもないけど、それらにあった味わいをさらにパワーアップさせているんですよ。世界中の怪獣オタクが「こんな映画が観たいなぁ」と夢想していた、そんな映像がついに実現したんですよ。ギレルモ・デル・トロにはアカデミー賞どころかノーベル怪獣賞をあげるべきだと思いますね! もちろんその前に円谷英二と本多猪四郎に国民栄誉賞をあげるのが先ですけどね!
ただ、文句をつけたいところもなくはない。
- 怪獣のバリエーションが少ない
- 怪獣のデザインは魅力的でよかったんですけど、後半になると似たような形状の怪獣が連続して出てくるので、ちょっと飽きてきます。とくにカラーリングが、どれも似たような地味な色づかいなのでね。ストーリー設定的にも、そんなに生物的にする必要はないんだから、もっとカラフルにしてくれるともっと楽しかった。
- 各イェーガーの見せ場が少ない
- イェーガーたちのデザインには文句のつけようもありません。どれも素晴らしくて、オレがいま中学生だったら確実にプラモをコンプしていると思うんですが、作中での活躍が少ないんですね。パイロットたちのキャラ立ちも申し分なく、もっと観たかったんですが、これは上映時間的に仕方ない。デル・トロ監督はタランティーノとかピーター・ジャクソンみたいにやたら長くする人じゃありませんからね。今後のスピンオフ展開に期待したいところです。
- ラストバトルに面白みが乏しい
まぁ、とはいっても映像の素晴らしさがあらゆる欠点を帳消しにしていますけどね。今後の特撮・怪獣ものは『パシフィック・リム』がスタンダードになってしまうので、制作のハードルが物凄く上がってしまうことでしょう。
で。
ぼくは今回、3D吹き替え版で観たんですが(公開初日は仕事があったので、上映時間が合う回がそれしかなかった)吹き替え声優にはアニメ畑の人たちが主に採用されています。
最近は、ジブリ作品の芸能人起用がすっかり定着して(それでも、庵野秀明を主役に起用したのはさすがに驚いたケド)、その影響か、洋画の吹き替えでも、話題作りのためにタレントを起用することが多くなりました。リドリー・スコットの『プロメテウス』が剛力彩芽を起用して、映画ファンに総スカンを喰ったのは記憶に新しいところです。
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ただし、菊地凜子が演じたヒロインは、ちょっと林原めぐみに引っ張られる部分がありましたね。林原めぐみはこれまで演じてきた役柄の幅が広いので、特定の役にイメージが引っ張られることはないんですけど、菊地凜子自体があんまりキャラの強い顔じゃないので、だんだん林原めぐみ本人の顔が浮かんでくるんですよね。
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古谷徹は、さすがにパイロット役じゃなくてギークな博士役。相棒の三ツ矢雄二はいろんな意味でグレーゾーンっぽい、昔ふうのマッドサイエンティスト。実はストーリー的に鍵を握っているのはこの2人で、おいしい役どころです。古谷徹はアムロとはだいぶイメージの違う演技で、さすがにベテランの貫録。これがパイロットの役だったら、さすがに狙いすぎとのそしりを免れないでしょうね。
その代わり、池田秀一はベテランパイロットで、しかもラストでは司令官代理になるので、完全にシャアでしたけどね。
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本作で最もおいしい役であろうロン・パールマンは、唯一のタレント声優であるケンドーコバヤシがアテていますが、無難な仕上がりで安心。「ミスターやりたい放題」の異名を取るケンコバですが、今回はちゃんとわきまえた仕事ぶりでした。
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字幕版を観た人たちのレビューによれば、オリジナル音声での台詞もなかなか味わいがあるようなので、そっちも観てみようかな。