ストレート・トゥ・ヘル

アメリカの銃産業に関するニュースを見聞きすると、なんとも過激でげんなりすることが多いです。ちょっと前には、8歳の少年が給食のパイを銃の形にかじって停学になり、全米ライフル協会がその少年を終身名誉会員に認定したこともありました。一から十まで意味が分からない、ひどい話でしたが、今度はこんな話が。


米国 イスラム聖戦士を天国に導かない銃弾発売開始: The Voice of Russia 米国 イスラム聖戦士を天国に導かない銃弾発売開始: The Voice of Russia

 米国の「South Fork Industries」社は、豚肉を使用した塗料でコーティングされた銃弾の販売に着手した。同社の説明では、イスラムの教えにおいて豚肉は不浄なものとされているため、この弾丸で銃殺されたイスラム過激派戦闘員の身体は「汚された」ものであり、聖戦士たちは自らの基本的な天国に入るという目的を達する事ができなくなる。
「South Fork Industries」社は、この新製品を「イスラム過激派向け平和必然的抑止手段」と名付けている。SBC Seattleが伝えた。なおこの弾丸のメイン・スローガンは「豚肉を通しての平和」。弾丸一箱およそ20ドルで、発売以来、日を追って人気が増している。

 「South Fork Industries」社のプレス・リリースの中では、この弾丸により、単にイスラム・テロリストを殲滅するだけでなく、彼らを地獄に送る事ができると指摘されている。イスラムの伝統によれば、非イスラムとの「聖戦(ジハ−ド)」の中で死んだ信仰に忠実な戦士は直接天国に召され、そこでは72人の美しい処女達が待っている。しかしコーランは、状況に関わりなく豚肉と接触したいかなるイスラム教徒も「不浄である」とし、天国へは行かれないと説いている。

この記事にも、ムスリムへの悪意がある気がしますけどね。実際のコーランでは、豚肉しか食べるものがない状況だったら食べてもいいことになっているので、「いかなるイスラム教徒も天国へ行かれない」というのは事実じゃないと思います。

愛と憎しみの豚

愛と憎しみの豚


1857年にインドで発生したセポイの乱(最近は「インド大反乱」というらしい)は、東インド会社が傭兵に支給した弾薬の包み紙に、豚や牛の脂が使われていると噂されたことがきっかけでした。

学習漫画 世界の歴史 12 アヘン戦争とシパーヒーの反乱 清帝国と列強のアジア侵略

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ヒンドゥー教徒イスラム教徒の傭兵たちは、これをキリスト教への改宗強要と受け止め、ついには大規模な反乱にいたったのです。「白人に逆らった有色人種は日本人だけ」なんて言う人もいますが、西欧列強による植民地支配の歴史は、絶えることのない反乱と弾圧の歴史であったことも、忘れないようにしたいものです。


それにしても、「イスラム教徒を地獄に送るための弾丸」という発想はなんともグロテスクで、込められた悪意の深さに戦慄してしまいますね。『ヘルシング』の「法儀式済み水銀弾頭」とかじゃあるまいし。

アーカードの弾丸はアンデルセン神父の頭を吹っ飛ばしましたが、神父が聖なる弾丸で撃たれたら天国へ行けるのかどうか、その辺のリクツはわかりませんけどね。まぁアンデルセンは頭を吹っ飛ばされても死にませんけど。


勇午』のインド篇でも、勇午ヒンドゥー教徒の捕虜を尋問するときに、無理矢理ビーフカレーを口に押し込もうとする場面があったのを思い出します。


この弾丸を発売しているサイトにも、行ってみました。


http://jihawg.com/


弾丸だけでなく、Tシャツや標的も売っています。

こ、これはアカンやろ……。

このサイトではアンクル・サムも豚化されているので、イスラム教徒だけを「豚野郎」と言ってるわけではないんですけど、それにしてもこれはヤバすぎる。
小朝の落語塾

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