光る宇宙
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発達障害はあの「ニュータイプ」かもしれない〜アスペから自閉症スペクトラムへ(田中 俊英) - 個人 - Yahoo!ニュース
発達障害者の支援をしている人なのですが、「アスペ」という言葉は可愛らしく市民権を得ているのに、今度は「自閉症スペクトラム」という新しい言葉が導入されるので、また一から偏見と闘わなければいけない、とのこと。まぁ現場にいる人の言葉はそれなりに尊重すべきとは思いますが、世間では「アスペ」ってそんなに好意的に受け取られてない、どっちかというと悪意の言葉として使われてるような気がしますけどねぇ。
アスペ(こっちのほうがかわいいので略します)は、嘘か本当か知らないけれど、アメリカでは社会から歓迎される要素もある「障がい」らしく、ある意味「突出した才能を持って生まれた代わりに、人間社会をやりすごすための『見えない諸ルール(“場の空気”をよむ、言葉の多義性を読み取る、計画の変更を受け入れる等)』に対処しにくい人たち」だと一言で言い表してもいいと思う。
かわりに、アスペの人が活躍できる「環境」さえ設定できればものすごい才能を発揮すると言われ、たとえば坂本龍馬もエジソンもアインシュタインもゴッホもアスペルガーだったといわれているし、映画監督のスピルバーグは診断も受けている。
逆に、そうした環境を設定できなければ、アスペの人たちはたいへん苦しくかつ生きづらくなり、二次障がいとして抑うつ状態になったりその他さまざまな精神症状が現れる。
という考察も加えられてますけど、「アスペルガー症候群だから突出した才能があるはず」というのもいささか乱暴な決めつけではないかと。才能と障害はまったく別の話だし、これでは、才能に恵まれていない発達障害者はたいへん苦しくかつ生きづらく、二次障害が現れると言っているようなものです。
障害者スポーツってあるでしょう。車椅子バスケとか、義足のランナーとか。ぼくもああいう、ハンデを克服して頑張ってる人は素晴らしいと思うんですけど、あまり賞賛しすぎると、スポーツでハンデを克服しない障害者はダメな人間だ、みたいな風潮が生まれないか、ちょっと危惧してるんですよね。スポーツが好きか嫌いかは人それぞれであって、健常者も障害者も変わりないわけですから。
んで、この記事に対してはいくつかツッコミのエントリが上がっています。
「昔は良かった。発達障害者も社会の中で受け入れられて生活していたんじゃ」という幻想 - yuhka-unoの日記
発達障害を「暴力的カテゴライズ」と断じる意味はあるか? - lessorの日記
ぼくがこれ以上この分野で突っ込んでも意味はないので、あえて末尾の部分にツッコんでみたい。
実は僕は、スピルバーグもエジソンも含まれるこうしたタイプの人達は「障がい」というよりは(主体的にハンディキャップをもっているというよりは社会からハンディキャップを与えられているという点から)、進化した「新しい人類のかたち」なのでは、とこの頃は思い始めた。
これはジョークでもなんでもなく、あの「ガンダム」で出てきた「ニュータイプ」の、ひとつの現実的展開がここにあるのでは、と真面目に思っている。笑いとばしてもらってもいいんですが、「ニュータイプ」としてアスペルガー症候群をとらえるとすべてが説明つくんですよね〜。
といっても凸凹である僕はニュータイプまでとはいかず、たぶんシャアどまりなんでしょうが(←これも誤解を与えそうな……)★
2001年に刊行された『機動戦士ガンダム公式百科事典』では、シャアは公式に「ニュータイプ」と明言されています。
機動戦士ガンダム公式百科事典―GUNDAM OFFICIALS
- 作者: 皆川ゆか,サンライズ
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(乗り込んだとき)
(しかもノーマルスーツに着替えたぜ!)
その後も、『Ζガンダム』ではパプテマス・シロッコから「ニュータイプのなり損ない」とすら言われる始末です。
だから、この人が誤解するのも無理はないんですけどね。
ニュータイプには、周囲の状況を把握して先の行動を読んだり、他人と共感し合えたりする能力があったはずなのに、この人はまったく逆の、「空気が読めない」「共感できない」アスペルガー症候群と一緒にしてしまっています。とはいえ、この誤解も『ガンダム』シリーズの作劇に起因するものです。
宇宙世紀シリーズは、ニュータイプによる「人の革新」が失敗する物語といっても過言ではなく、他人と感応し合えるはずのニュータイプたちがコミュニケーション不全によって断絶し、互いに殺し合うストーリーが延々と展開します。そもそもララァが死んだ時点で、ニュータイプの物語は悲劇と運命づけられたと言っていいでしょう。
また、ニュータイプや強化人間は、アムロやララァからカミーユ・ビダン、フォウ・ムラサメ、ロザミア・バダム、ハマーン・カーン、『ガンダムUC』のバナージ・リンクスやマリーダ・クルスに至るまで、情緒不安定でコミュニケーションに難のある人物ばかり。まぁ富野由悠季だから仕方ない*1んですけど。『逆襲のシャア』ではアムロもシャアも大人になったはずなのに、相変わらず成長してませんでしたからねえ。シャアに至ってはマザコンまで告白しています。落ち着いた成人のニュータイプって、シャリア・ブルしかいないんじゃないですかね。
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ニュータイプの概念は、今でこそ様々な考察がなされ、それぞれに解釈が成り立つ幅広い意味を持っていますが、本放送当時は「難解」と評判が芳しくありませんでした。
機動戦士ガンダム
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アニメには比較的勧善懲悪というか、善悪がはっきりしている作品が多いですよね。でも『ガンダム』のキャラは、善悪を合わせもつ人間そのものといったキャラが多かった点が注目されます。つまり、人間性を強調したドラマだったんです。
オーディションのとき、「想像力豊かで人の心が読めるキャラ」といわれてララァをやることになったんですけど、そのうち突然ニュータイプ……でしょ。もう解釈がムズカシクテたまりませんでした。
ニュータイプ以前のララァは、私なりに把握していたつもりです。ファンの人たちは知ってるハズですが、ララァって、みにくく下衆な女から這いずりあがってきた女なんですね。しかも、徹底的に一人の男にしがみつくタイプで……私のキライな型の女なんですよ。
池田(秀一)さんもそうだと思うけど、私はシャアとララァがすぐオトナチックな深い間柄になったと認識しながらセリフをあててました。ま、そういう大人のムードがあのドラマには散見されましたよね。女子高生あたりにうけた一因じゃないかしら。
富野(喜幸)さんから教えられましたけど、ニュータイプって“宇宙的視野と能力をもつ人”なんですってね。私なりに理解すると、コンピューターに“情”を与えられるような人、IQを闊達に応用できる人っていうことだと思うんだけど違うかしら……でも『ガンダム』ってホントにむずかしかった! 難解な単語なんかがどんどん出てくるので、私、永井(一郎)さんなどにいちいち聞きながらやってました。私は魚座生まれで、予知能力があるはずですけど、『ガンダム』に関してはまるでダメでしたわ。
魚座生まれだから予知能力がある、というのもなかなか強烈な決めつけですが、潘恵子が占星術師としても活躍していることを考えると、むべなるかなというところです。
- 作者: 潘恵子,サンライズ
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ちなみにこのインタビューでは、今でこそギレン総帥の声で不動の地位を占めている銀河万丈が、当時は「突然現れたと思ったら突如消え、また現れたと思ったら死んだ」と、キャラを掴むヒマがなかったことを吐露しているあたりもなかなか味わい深いです。
ここまでギレンを掴むのには、30年かかってるってことです。そりゃ他の誰もかなわないよなぁ。
*1:『UC』は富野作品ではないが、正統後継者としてそのテイストを受け継いでいる