ぼくになることを

本日は、仙台文学館大森望先生をお迎えした「せんだい文学塾」を受講してまいりました。


今回は「SFのいま」というテーマでお話をしていただいたのですが、90年代には人気が下降して「帯にSFと書いただけで売れない」時期があったのが、近年になってまた盛り返している。そのきっかけになったのは伊藤計劃の登場だった、という指摘は興味深かったです。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)


あと、70年代には現在よりSFがメジャーだった(ように感じられる)のは、当時はファンタジーやホラーといったジャンルが細分化されておらず、ファンタスティックな要素を含んだ小説が全部SFにカテゴライズされていたためで、それを加味すれば今も広義のSFは人気ジャンルだ、というお話も、なるほどと納得いたしました。

日本沈没(上)

日本沈没(上)

日本SF史上最大のヒット作であろう『日本沈没』も、たぶん今だったら、SFというよりは「戦慄のシミュレーション小説」とか「ポリティカル・パニック・フィクション」とか呼ばれるような気がします。


今回は質疑応答コーナーもあって、ぼくが「昔はアニメなどについて『あれはSFではない』などの論争があったものですが、最近はどうですか」と質問したら、それは『機動戦士ガンダム』をめぐる高千穂遥さんの発言が独り歩きした結果で、SFファンとアニメファンの双方にとって不幸な出来事だった、とお答えいただきました。

今は『魔法少女まどか☆マギカ』も、グレッグ・イーガンの影響を受けた正統なSFと評価されているそうです。
祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)


あと、最近は10数年ぶりにアイドル現場に復帰したという大森先生の、リーダー道重さゆみ論も興味深かったです。

なんで文学講座でそんな話題が出るのだ、という向きもあるかもしれませんが、すみません、これもぼくの質問だったのです。