スウェーデン式増大器と私

日本のスポーツ新聞は、スポーツを中心としながらエロを大フィーチャーしており、これが電車内など公共空間でふつうに読まれていることは、男性向けエロに寛容な日本独特の習慣だといわれています。下ネタを大胆に取り込んだ見出しもその魅力の一つですが、今日はこんな記事が。


http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20130203-1080315.html

ウインナー売り場で“ウインナー”露出

 スーパーの店内で下半身を露出したとして、千葉県警浦安署は2日までに、公然わいせつの疑いで、東京都江東区職員の新井誠司容疑者(44=千葉県八千代市)を逮捕、送検した。容疑は1月31日午後8時55分ごろ、浦安市のスーパー「西友浦安店」の店内で、ズボンのファスナーを開けて下半身を露出した疑い。

 同署などによると、新井容疑者は、背広にロングコート姿で陰部を露出したまま食品売り場を歩き回っていたという。目撃した買い物客が店員を通じて110番通報し、駆け付けた同署員が現行犯逮捕した。新井容疑者は「陰部を出したことは認めるが、見せるつもりはなかった」と容疑を一部否認している。

 当時、新井容疑者は飲酒後の帰宅途中で、店内に30分以上いたという。店の関係者は、同容疑者について「(陰部を)出しながら、ウインナー売り場周辺をウロウロしていた。足取りもしっかりしていた。何をしたかったのか…」と首をひねっていた。区は「極めて遺憾。厳粛に処分したい」とコメントした。

 [2013年2月3日8時57分 紙面から]

嗚呼、この溢れるおじさんセンス。
「出したことは認めるが、見せるつもりはなかった」という供述も意味不明すぎてしびれます。


ひき肉を動物の腸に詰めた食べ物を「ソーセージ」と総称します。ドイツには燻煙しないヴァイスブルストや血を材料に使うブルートブルスト、ポルトガルには辛味のあるリングイッサ、スペインでは赤みの強いチョリソ、イタリアではきめ細かく柔らかいモルタデッラ、タイでは米を入れるサイクローク・イーサーンなど国や地域によってさまざまな種類がありますが、日本のJAS規格では、燻煙の有無や肉の種類などに関わらず、直径によって3種に分類されています。

  • 直径20mm未満もしくは羊の腸を使用したもの:ウインナーソーセージ
  • 直径20mm以上36mm未満もしくは豚の腸を使用したもの:フランクフルトソーセージ
  • 直径36mm以上もしくは牛の腸を使用したもの:ボロニアソーセージ

この3種です。ボロニアソーセージは、本来はモルタデッラを指す名称なのですが、日本ではとくに製法は規定されておりません。ただし、多くの商品は本場のモルタデッラに近づけようと肉を細かく挽き、脂身を加えて柔らかい食感に仕上げています。これをとくに好んだ作家が大藪春彦で、彼の小説には主人公がボロニア・ソーセージを大量に食べる場面がよく出てくるのは、当ブログではお馴染みです。

復讐の弾道 (光文社文庫)

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日本にソーセージが普及したのは20世紀になってからで、第一次世界大戦で捕虜になったドイツ人がその製法を伝えました。

ロースハムの誕生―アウグスト・ローマイヤー物語

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中でも有名なのがアウグスト・ローマイヤーで、ロースハムの考案者でもある彼が創業したローマイヤ株式会社は、今もハム・ソーセージの老舗として親しまれています。
ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

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羽海野チカの漫画『ハチミツとクローバー』に出てくる、ハムを差し入れてくれる「ローマイヤ先輩」もこのブランドから名づけられており、ローマイヤの広告にも登場しています。


ソーセージと同じように太さで分類されているのが麺で、うどん・ひやむぎ・そうめんは本来は製法が異なり、生地を切って作るのがうどんとひやむぎ、手延べするのがそうめんだったのですが、JAS規格では太さだけで区別されています。秋田県の名物である稲庭うどんは、手延べして熟成・乾燥させる工程を経ているので、本来ならそうめんの一種なのですが、商標としては「うどん」になっています。

〔佐藤養助〕 稲庭手延うどん

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パスタは太さや形状によって様々な種類がありますが、同じ日清フーズでもマ・マーディ・チェコで呼び方が違っていたりして、規格はあまり統一されていないようです。


中年男性露出事件に話を戻しますと、TENGAが2012年に調査したところによれば、日本人男性の性器は、平均で直径3.19cmだそうですから、ソーセージでたとえるならフランクフルトがふさわしいことになります。それを「ウインナー」と呼んでいるのだから、捕まったときはきっと平常状態だったのでしょう。

恋の罪 [Blu-ray]

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ちなみに、園子温監督の『恋の罪』では、スーパーで働く神楽坂恵が試食コーナーですすめるソーセージが、ウインナーからフランクフルトへと大きくなる、わかりやすいギャグもあったものです。多くの男性にとって、サイズや活力など、ファルスは永遠の憧れなのでありました。でも露出する意味はわかんないけど。