天使と小悪魔

まさか(初回生産分)(Type-A)(DVD付)

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おとといのエントリでネタにした河西智美写真集ですが、ややこしいことになってきました。


ZAKZAKの記事ではあるけれども)
http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20130112/enn1301121458011-n1.htm

AKB河西智美“写真集白紙”の全内幕 講談社損害「3億円超」も

 国民的アイドル1人の写真が出版社に億単位の損害をもたらしそうだ。講談社が2月に発売を予定していたAKB48の河西智美(21)の写真集で、表紙用に撮影していた河西の“手ブラ写真”が「社会通念上、読者に不愉快な感情を抱かせる」と写真集の発売が白紙となり、事実上の中止に追い込まれた。その写真を掲載して12日に発売予定だった漫画雑誌「ヤングマガジン」はすでに発売延期となっている。前代未聞の騒動の舞台裏に迫った。 

 上半身裸の河西。その豊かな胸を背後にいる男児が前に回した手のひらで覆い隠す刺激的な写真が波紋を広げている。講談社によると、2月4日に発売予定の写真集『とものこと、好き?』の表紙に予定されていた写真で、写真集の発売告知の記事が掲載される「ヤングマガジン」でも使われていた。

 河西の3サイズは公式サイトでは80・59・82。だが、アイドル事情に詳しい芸能ジャーナリストは「最近かなり大きくなって、実際にEカップはある。清純イメージのAKBにあって、ヤンマガの中高生読者が思わず興奮するショットだ。ただ、手にあまる豊満さを強調するためか少年を起用したのは間違いだった」と指摘する。

 実際、10日に小紙を含む新聞社系のウェブ媒体などを通じて事前告知の“手ブラ写真”が公開されると、たちまちファンの間で話題となった。その大半は、「性的な想像をかきたてる写真に少年を使うのは、いかがなものか」といった否定的な意見で、ネット上では“炎上”状態となった。

 一方、講談社内では、河西が所属するホリプロや昨年12月にソロデビューシングルを発売した日本クラウンなどと意見を交換しながら、10日夜まで写真の是非をめぐる討議が重ねられたという。

 その結果、10日午後7時ごろにまず雑誌の発売延期を決定。製本され、すでに取次店に運ばれていたが回収を急ぎ、日付が変わる直前にすべて回収した。同日深夜には、ホームページで発売延期を告知。翌11日、新聞社などに送っていた事前告知の写真データの削除を求めた。

 さらに、写真集についても“手ブラ写真”を使わないことを決め、発売自体も白紙に戻して検討中であるとした。

 写真集は、昨春開催されたAKBメンバーによる競馬予想バトル「AKBのガチ馬」の優勝ごほうびとして実現。ほかにも愛犬とのプライベートショットをはじめ、下着姿や入浴シーンなど112ページにわたり河西の魅力が収められていた。

 今回の騒動で講談社が被る損害額は、「ヤングマガジン」の発売延期だけで、「3億円はくだらないのでは?」と推定するのは、週刊誌の編集経験が豊富な芸能評論家の肥留間正明氏。

 「公称部数の約65万部で算定すると、印刷代、広告料、購読料、編集制作費など3億円を超えてもおかしくない。書籍や男性週刊誌が出版不況にあえぐ中、人気漫画誌ヤングマガジン講談社のドル箱的存在です。過去に皇室写真の間違いや暴力団に関する記事などで女性週刊誌が発売延期に追い込まれた際も、それぞれ3億円近い損害だった」と肥留間氏。

 そこまで代償を払ってでも、写真を差し止めたかった背景には、世界的に厳罰化が進む児童ポルノとの関連があると指摘する出版関係者もいる。

 実際、法律的に問題があるものなのか。

 日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏は、「ただちに児童ポルノとはいえない。この写真だけで、法律に抵触するとまではいえない。出版社側の自主規制だろう」とみる。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、「満18歳に満たない者との淫行などを取り締まる児童福祉法では、児童の心身に有害な影響を与えるような行為をさせることも禁じている。今回は、少年に対して成人女性の胸を触らせるのが、その行為に抵触すると(講談社側は)判断したのではないか」と指摘。

 児童福祉法違反は児童との淫行で有罪になれば、懲役10年以下の懲役、300万円以下の罰金が科される。淫行以外でも、有罪になれば3年以下の懲役、100万円以下の罰金刑だ。

 ただ、若狭氏は「児童ポルノに該当するのは、児童との性行為を描写したり、あるいは性行為を連想させる描写をした場合に限られる。たとえば性器に触れていたりすればまずいが、河西さんの写真は、そこまで過激なものとはいえない」と話している。

 一方で、児童ポルノ問題に詳しい弁護士など識者からは「児童ポルノに抵触する」という指摘もあがっている。

 関係者によると、写真集の企画は講談社が行ったが、掲載写真については、昨年の段階でタレント側などスタッフもチェック済みだったという。警察当局などの外圧は「なかった」(講談社広報)としているが、ギリギリでの“手ブラ写真”取りやめは大きな代償を余儀なくされそうだ。

これで河西智美をバッシングする人もいますが、あくまで講談社コンプライアンス問題と考えるべきでしょう。写真の問題でモデルを責めるのは筋違いってモンです。
ちなみに、回収されたはずのヤングマガジンは、一部の書店では店頭に出たようです。
http://togetter.com/li/437870


んで、最近は自分が生み出したネトウヨたちから離れることに必死な小林よしのりは、「これは聖母マリアと天使の宗教画のようで、ポルノではない」とかなり無理のある擁護をしています。
https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=jos3v492e-736


とはいえこの主張にも一理はあって、金髪の白人少年を起用したのはまさにそういう意図があったからだと思われるんですよ。これが日本人だったら、いくら少年でも生々しいでしょ。でも金髪の白人少年は、宗教画に描かれる天使のようで、日本人からすれば現実感の希薄な存在に感じられるわけですよ。つまり、ここには無意識なレイシズムが隠されている、ということです。そういう側面も、この問題にはあります。


問題の写真が児童ポルノにあたるかどうかは意見の分かれるところですが、映画の世界でも児童ポルノの問題はつきまとっています。

スウィート・スウィートバック [DVD]

スウィート・スウィートバック [DVD]

メルヴィン・ヴァン・ピーブルズの監督・主演によるブラックスプロイテーションの先駆け的作品『スウィート・スウィートバック』(1971)では、冒頭で主人公スウィートバックの童貞卒業が描かれています。少年時代のスウィートバックを演じたのは、メルヴィンの息子であるマリオ・ヴァン・ピーブルズですが、当時13歳のマリオが実際にセックスシーンを演じている(しかも本番だったという)ため、2006年に発売されたDVDでは、当該シーンではマリオの身体全体が白くボカされていました。見たときは「しょーもねえことするなぁ」と思ったものです。


おっぱいとお月さま [DVD]

おっぱいとお月さま [DVD]

1994年のスペイン/フランス映画『おっぱいとお月さま』は、弟が生まれて母のおっぱいを奪われた9歳の少年が、自分だけのおっぱいを求めるというお話。ビガス・ルナ監督はこの作品で、前年に亡くなったばかりのフェデリコ・フェリーニにオマージュを捧げるような、カオティックで幻想的なエロスの世界を描いています。カタルーニャ語をフィーチャーした、エキゾチックな雰囲気も魅力。
で、主人公の少年テテの前に現れるのが、旅芸人のマチルダ・メイ。われわれには(って誰のことかようわからんけど)『スペースバンパイア』でおなじみ、80〜90年代ヨーロッパを代表する美乳女優*1です。んで、『スペースバンパイア』では人間の精気を吸いまくっていたマチルダ・メイですが、『おっぱいとお月さま』では9歳の少年におっぱいを吸わせます。しかも、母乳を噴出して飲ませるというフェチAVみたいなシーンまであります。これらは映画の中では主人公の幻想シーンとして処理されるのですが、実際ちゃんと吸ってるわけですよ。これはどうなんだろう。DVDは今は廃盤で、Amazonではプレミアがついています。再発されたらモザイクでもかかるんかなぁ。


ちなみに、『おっぱいとお月さま』には、無名時代のハビエル・バルデムがチョイ役で出ています。クレジットではベニート・ゴンザレスという非常に胡散臭い名前になっていますが、映画の中で発見するのはかなりの難易度です。

お暇なときにでも、探してみてください。

*1:ただし、同年代にはモニカ・ベルッチという超強力なライバルが存在する。オレには甲乙つけられん。