SET ME FREE
”Fox on the Run”や”Ballroom Blitz”のヒットで知られる、70年代に人気のあったグラム・ロックバンド、SWEETには”Sweet Fanny Adams”というアルバムがあります。
- アーティスト: Sweet
- 出版社/メーカー: Sony/Bmg Int'l
- 発売日: 2005/01/17
- メディア: CD
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- The Sweet - Set Me Free
このアルバムタイトルは、イギリスの古い慣用句で”nothing at all”を意味します。
また、エキサイト翻訳で”Fanny Adams”を訳してみると、
「缶詰肉」と訳されます。なぜ「甘い缶詰肉」が「何もなし」を意味するのでしょうか。というかそもそも、なぜ「ファニー・アダムス」が「缶詰肉」なのでしょうか。そういう商標の缶詰があったのでしょうか。
実は、血なまぐさくかつブラックな語源があります。
1867年というから、日本では大政奉還がなされ、王政復古の大号令が発せられた江戸時代最後の年ですが、イギリスはハンプシャーの田舎町で、8歳の少女が殺害されるいたましい事件がありました。
8歳の少女ファニー・アダムスは、姉と友だちと遊んでいたのですが、そこに法律事務所の事務員として働くフレデリック・ベイカーという男がやってきます。
ベイカーは、姉と友だちに小銭を渡して「お菓子を買っておいで」と追い払うと、ファニーを畑に連れ込み、石で殴り殺しました。
ファニーの身体はばらばらにされ、切断された首は畑に立てられた棒の上にさらされていました。両目がえぐられ、耳は片方切り離されていたというから凄惨です。
胴体は胸から切り開かれ、心臓が取り出されていました。下腹部はとうとう発見されませんでした。
ベイカーはすぐに逮捕され、絞首刑に処されましたが、この事件は英国でセンセーショナルに報道されました。
その2年後、イギリス海軍は食料としてマトンの缶詰を兵士に配給します。ところがこれがえらく不評で、兵士の間では「この肉はきっと、ファニー・アダムスの見つからなかった部分に違いない」というブラックジョークが交わされました。
それ以来、マトンの缶詰は「ファニー・アダムス」と呼ばれるようになり、転じて、価値のないこと、何もないことを「スイート・ファニー・アダムス」と言い表すようになったのでした。
肉の缶詰といえば、スパムも『空飛ぶモンティ・パイソン』のコントでネタにされて以来、迷惑メールを指す名詞となりましたが、こういう慣用句に使われやすい食べ物なんでしょうかね。
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- メディア: 食品&飲料
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