女子プロレスいまむかし

柳澤健の『1993年の女子プロレス』がamazonから届いた。びっくりするほど分厚い本であった。

1993年の女子プロレス

1993年の女子プロレス

1993年に、日本の女子プロレスは団体対抗戦によって空前の大ブレイクを果たしたのだが、そこから衰退が始まっていたという事実を、レスラーや関係者のインタビューによって冷静に描き出している。


井田真木子の名著『プロレス少女伝説』は、1982年から89年までを舞台にしていた。その時期は、女どうしの格闘を性的な目で見ていた男性客が駆逐され、クラッシュ・ギャルズに熱狂するティーンエイジャー女子が会場を埋め尽くすようになっていった、客層の変化があった年代である。このころまでは、「プロレスファン」と「女子プロファン」は完全に区別されていた。

プロレス少女伝説 (文春文庫)

プロレス少女伝説 (文春文庫)


その後、ユニバーサル・プロレスリングアジャ・コングバイソン木村が出場したのをひとつのきっかけとして、男性が多数を占める、従来の「プロレスファン」が女子プロに流入してくる。あの大ブレイクが支持されたのも、「団体対抗戦」が流行した男子プロレス業界の流れとシンクロしたからであった。


しかし、それまで女子プロレスを支持していた女子客がいなくなったことによって、入門希望者は減少していき、次代のスターが育たなくなる。現在は、女子プロレスといってもグラビアアイドルくずれによるキャットファイトまがいのものが主流を占め、かつてのような専業レスラーはほとんど存在しない。

淋しいかぎりである。


あと、ブル中野へのインタビューでは北朝鮮遠征のことにも触れているが、さすがにゴマシオの話題は出ていないのであった。

プロレス 暗夜行路 (別冊宝島1648 ノンフィクション) (別冊宝島 1648 ノンフィクション)

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