2012年の柳澤健

深夜の高速バスというのはどうしてあんなに汗をかくのだろう。


こんにちは、ワッシュです。今日はチと風邪気味。というのも、昨日はid:gryphonさん主催の格闘技ファンブロガー新年会のため仙台―東京間を高速バスで日帰り往復したため、さすがに体力の限界となりました。


さて、昨日の新年会、0次会(プレイベントといってもいい)にはスペシャルゲストが参戦してくれました。


あの名著『1976年のアントニオ猪木』『1993年の女子プロレス』『1985年のクラッシュ・ギャルズ』の著者、柳澤健さんです!

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

1993年の女子プロレス

1993年の女子プロレス

1985年のクラッシュ・ギャルズ

1985年のクラッシュ・ギャルズ

ぼくも大ファンなので会うにあたってはかなり緊張しましたが、実際の柳澤さんはとても気さくで、『1976年のアントニオ猪木』を書いたときのパキスタン取材の資料など、貴重なものを見せていただけました。ペールワン一族のポストカードまでお土産にいただきました。

この濃厚なガチムチ臭! 日本ではペールワン一族として知られるボル・ブラザーズは、1960年代にパキスタンで国民的人気を誇ったプロレスラー一家。「ペールワン」とはパキスタン語で「ファイター」を意味します。前列左が猪木と闘った五男アクラム・ペールワン、中央が長兄ボル、右が四男アスラム。後列左が三男のアザム、右が末っ子のゴガ。ちなみにみな既に故人です。


彼らの活躍した時期がちょうどパキスタンでテレビが普及しはじめた頃で、日本のテレビ創成期における力道山と同じように、ボル兄弟のプロレスが国民的人気を博しました。76年には、モハメド・アリと闘ったことでイスラム世界にも名の売れた猪木を招聘し、猪木がアリにやったようにリアルファイトを仕掛けたのですが、猪木のダブル・リストロックでアクラムは腕を折られるという結末に終わり、これを境にパキスタンのプロレス人気も下火となってゆきます。そう思うと、なおさら味わい深い一枚の写真であります。


現在の柳澤さんは日本アマレスの誕生についての本を執筆中で、従来のレスリング史観を根底から覆す凄い本になりそうです。そこには創成期の柔道や古流柔術にまつわるエピソードも絡んでいて、「某社の某本には負けない」という柳澤さんの意気込みも聞くことができました。

ありがとうございました。


柳澤さんを交えた0次会のあとは、格闘技ブロガー新年会に参加し、The Outsiderに参戦している佐野哲也選手や「MMA IRONMAN」さんなど有名格闘技ブロガーに混じって、gryphonさんに『魔法少女まどか☆マギカ』と『輪るピングドラム』を強く薦めてきたのでした。

輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]

輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]

この二本に共通しているのが「運命」をテーマにしていることで、理不尽な運命の悲劇を見せられた2011年を代表するにふさわしい作品です。『魔法少女まどか☆マギカ』の素晴らしさについてはもう多くを語りませんが、うちのブログではあまり触れてこなかった『輪るピングドラム』について簡単に紹介しておくと、有名な「生存戦略」に代表される、隠喩に満ちた前衛的な演出と、同性愛や近親相姦などの豊潤なエロティシズム描写、それに加えてカルト教団で育った子どもたちがいかに成長していくかという重厚なテーマが、がっちり組み合った見ごたえある作品だといえます。
カルトの子―心を盗まれた家族 (文春文庫)

カルトの子―心を盗まれた家族 (文春文庫)

挿入歌とエンディング曲を集めたARBのカヴァーアルバムも名盤と呼んでいい出来で、これだけでも評価に値します。
輪るピングドラム キャラクターソングアルバム

輪るピングドラム キャラクターソングアルバム


というわけで、2次会まで参加して今期MVPとベストバウトを発表し(ちなみにぼくのMVPは井岡一翔、ベストバウトは西岡利晃vsラファエル・マルケスとボクシングに限定して選んだ)、歌舞伎町のしつこい客引きを「これが日本一の歓楽街か…」と感動しながら振り切り、深夜バスで仙台に帰還してから一日ずっと眠りこけていたのでありました。

  • 結論

柳澤健さんの本と、『輪るピングドラム』のアルバムは買っておくべし。