十六の墓標
- 作者: 永田洋子
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 1982/09
- メディア: 単行本
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http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110206k0000m040114000c.html
永田死刑囚死亡:先鋭化、闘争の果て…「総括」同志ら殺害
先鋭化した武力闘争で71〜72年に起きた一連の連合赤軍事件の指導者、永田洋子死刑囚(65)が5日、静かに息を引き取った。銃と暴力で血塗られた革命思想は「総括」と称して仲間を死に追いやり、あさま山荘での壮絶な銃撃戦で途絶えた。事件から40年。かつての最高幹部の死は一つの時代の終わりを告げた。
群馬県の榛名山や迦葉山の山岳アジトなどで12人の同志の命を奪った「山岳アジト事件」(71年12月〜72年2月)。永田死刑囚は同志の指導者として次々とメンバーに「総括」の名の下に自己批判を迫った。総括はエスカレートし、他のメンバーに「総括援助」と称して暴力を加えさせるようになった。
取り囲んで殴打し、緊縛して極寒の山中に放置した。死亡すると穴に埋めた。兄弟でアジトに潜伏した同志もおり、弟は兄を泣きながら殴った。妊娠8カ月で暴行を加えられて死亡した女性もいた。
13人の殺人罪、1人の傷害致死罪に問われた。1審公判で非を認め、反省を口にしたものの、証人尋問で当事者を前に大声で笑い、判決では「人命蔑視の精神を表すものとして見逃すことができない」と指摘された。2審では「武装闘争は今後も起こる。連合赤軍の武装闘争の経験の総括も、今後の闘争に生かさなければならない」とも語っていた。
裁判では「自分一人の責任ではない」と、元被告(獄中自殺)に責任をかぶせたが、82年には獄中で「十六の墓標」を出版し、革命家としての自身の半生を詳細につづった。獄中からの作品発表は多く、モデルにした映画も公開された。
一方で、84年には控訴審公判中に椅子から滑り落ちて倒れるなど、脳腫瘍の症状が表れた。93年には「腫瘍の治療が行われていない」として、病院への移送と、国と手術した病院に慰謝料を求める訴訟も起こしていた。
リンク先の記事では、あさま山荘事件の写真も載せられていますが、永田はこの事件のときはすでに逮捕されていて、ここには居なかったんですけどね。
戦後の日本では、とくに70年代に左翼系のテロリストが多く逮捕されましたが、死刑が確定したのは永田を含めて5人しかいません。
- 永田洋子(連合赤軍、リンチ殺人事件)
- 坂口弘(連合赤軍、リンチ殺人事件、あさま山荘事件)
- 大道寺将司(東アジア反日武装戦線、連続企業爆破事件)
- 益永(旧姓片岡)利明(東アジア反日武装戦線、連続企業爆破事件)
- 大森勝久(北海道庁爆破事件、冤罪を主張)
で、これらの確定囚は、いまだ一人も死刑を執行されてはいないんですね。連合赤軍の最高責任者だった森恒夫は拘置所で自殺していますし、あさま山荘メンバーの吉野雅邦(好きな食べ物はカステラ)は無期懲役、坂東國男や大道寺あや子は超法規的措置で釈放されて国外逃亡中。連合赤軍の母体となった、赤軍派の塩見孝也議長や京浜安保共闘(日本共産党革命左派神奈川県委員会)の川島豪議長(1990年死去)は、有期懲役刑を満了して出所しています。
戦前の日本には不敬罪や大逆罪があり、皇室へのテロを企てたものは具体的計画がなくても問答無用で死刑となりましたが、戦後のテロリストたちはあくまで殺人の罪で裁かれており、「内乱」などの罪は一度も適用されていないんですね。70年ごろに赤軍の構成員たちが逮捕されたときは「転び公妨」みたいな摘発が多く、「赤軍罪」などと揶揄されたものですが、まぁ不敬罪を廃止した以上それより他になかったんでしょうね。やたらに政治犯を弾圧していたら人権抑圧国家とみなされてしまいますから、あえて別件で逮捕するというやり方は実に日本的でグッときます。まぁ最近のジュリアン・アサンジ逮捕報道なんかを見るにつけ、外国でもやり方は変わんないんだなぁと思ったりもします。
いっぽう、こんなニュースも伝わっています。
http://hamusoku.com/archives/4075677.html
動画はこちら。
くっだらねえwww
でもコレ、本当に逮捕されたのかなぁ。入浴剤は別に所持を禁止されている品物ではないし、ニコニコ生放送の配信を止めさせることに法的根拠があるとも思えません。不敬罪なんて今の刑法にはないんだし、軽犯罪法の条文にも「お堀に入浴剤を入れることを禁ずる」なんてことは書いてありません。警察の人も困るでしょうねぇ。
[rakuten:otoriyosestadium:10000042:detail]
法律が定めていない罪は成立しない、という罪刑法定主義は民主主義の原則ではありますが、国民感情とやらはそこまで合理的にできていないんでしょうなぁ。