METAL ON METAL

安田理央さんが「ハードロックとヘビメタの違いって?」とつぶやいていたのが、ちょっとした論争というか、オレ定義大会のようなものを巻き起こしていたようです。
ハードロックなのかヘヴィメタルなのか問題 by 安田理央氏(@rioysd) - Togetter

ぶはははは。名のあるいいオトナをこんな中学生レベルの論争にまで引き降ろしてしまうあたりが、ハードロック/ヘヴィ・メタルの持つ稚気のようなものをよく表していますね。


安田さんは、モデルプランツの曲を聴いてもわかるようにHR/HMに関しては全くの門外漢だそうなので、つい「ヘビメタ」という差別用語を使ってしまうんだと思います。でも、ジューダス・プリーストが「メタルじゃない」というのはちょっと違う気がするなぁ。ヘヴィ・メタルの歴史を考えると、プリーストが1980年にリリースしたアルバム『ブリティッシュ・スティール』が、ハードロック→ヘヴィ・メタルへの一つの転換点といえると思うんですよね。

クラシック・アルバムズ:ブリティッシュ・スティール [DVD]

クラシック・アルバムズ:ブリティッシュ・スティール [DVD]

もちろん、それ以前のアルバムにもアグレッシヴかつスピーディな楽曲はありましたが、このアルバムで打ち出したソリッドなサウンド、および「メタル・ゴッド」という楽曲およびバンドのパブリック・イメージが、「ヘヴィ・メタル」というジャンルのイメージを決定付けた部分は大きいと思います。


サウンド面では、ギターの歪みを深くして、高音域と低音域を強調するとよりメタルらしくなり、楽曲面を考えれば、キーがAメジャーとかGメジャーだとハードロックっぽくなり、EマイナーとかDマイナーだとヘヴィ・メタルっぽく聞こえるという傾向もありますが、この辺はまぁ感覚の問題なので区別するのは難しいでしょう。デモーニッシュな要素の有無も区別には役立ちますが、ブラック・ウィドウみたいな牧歌的オカルトロックもあったりするし。


んで、安田さんは「これぞ王道のメタルという曲は何か」と問いかけていて、いろんな人がいろんな曲を薦めているのですが、スラッシュ・メタル寄りだったりコルピクラーニだったりしてどうも正統派とは言いがたい曲が多く出ているようです。いちおうジューダス・プリーストの”ヘリオン”や”ペインキラー”、マノウォーの”キングス・オブ・メタル”あたりも出ていますが、メタラーなら誰しも、こういうときに出したくなる一曲ってものをそれぞれ持ってると思いますね。


オレだったら、ラウドネスの”S.D.I.”を挙げるかなぁ。


スピーディでアグレッシヴな曲調、ハイトーンのスクリーミングから低音のデス声まで含んだ歌唱、両手タッピングに代表されるケレン味のあるギター。ヘヴィ・メタルの要素が余すところなくブチ込まれていると思うんですよ。異論はあるかと思いますが、オレならコレですね。

HURRICANE EYES(紙ジャケSHM-CD)

HURRICANE EYES(紙ジャケSHM-CD)


ま、こんなふうにああだこうだと語りたくなってしまうのがメタルのメタルたる所以であって、メタル嫌いの人はこういうオタクっぽいところが鼻につくんだろうなぁなんて思ったりもします。