東京伝説

今日の増田ネタはこれでお願いします。


http://anond.hatelabo.jp/20100905202233

チビ男を相手に、彼女の前で返り討ちにあった…死にたい。

ようやく落ち着いてきたので、昨日、起きたことを覚えている限りの事を書き残そうと思う。



都内某所の繁華街を彼女と二人で歩いていたら、身長160cmくらいの男の買い物袋が俺の膝に当たった。
その家電量販店の紙袋の中身に何が入ってたかわからないけど、固くて、痛かった。
で、振り返って、その男に聞こえるように「痛ってぇー!おーいマジかよ。クソ!」って言ったわけよ。
チビでなんとなく気の弱そうな感じだったから、暴力は振るわないまでも、ちょっと思い知らせてやろうくらいの気持ちでいた。
彼女の前で、注意できる俺を見せてやりたかった。


バカだった。


その男はゆっくりと振り返って、一言。
「おい!今、何て言った?」


・・・あれ?キャラ違うよね?君、そういうキャラじゃないよね。話が違うんだけど。
しかも、すっげぇ、怖い顔してる。
その予想外のキャラに対し、俺パニックになって「いや・・・当たってるんだけど、それ。膝に。」
完全に先手取られた気分。


男「は?そんな事聞いてない。今、何て言ったか聞いてるんだよ。」
俺「え・・・だからさ・・・痛かったんだけど。」
男「違うだろ。正確に言えよ。」
俺「・・・」



そんな俺を見かねて、彼女が「ねぇ・・・やめなよ。もう行こうよ。」って俺に言うんだけど、
それを聞いた男が「ダメだ。行くな。ちゃんと答えろ。」


もう完全に主導権は向こう。
男「ねぇ?ケンカするの?なんで、あんな事言ったの?」
俺「袋当てたのはそっちだろ?」
男「我慢しろよ。ちょっと、当たったくらいで、いちいち声出すなよ。だから、どうしたいの?さっきの調子だとケンカ売ってるようにしか感じないんだけど。」
男「早く答え出せ。」


よく見たら、背低いけど、ガタイが良くて、なんか腕太い。完全に相手を間違えた気分。
黙ってる俺に対し、彼女が先に行動した。「ごめんなさい。私たちの不注意でした。」って頭下げたんだよ。女はこういう時度胸あるな。


それを聞いた男は少し間を置いて、今までで一番冷たく恐ろしい顔と静かな声で、彼女に言った。
「あんたに聞いてない。黙れ。」


もう、背筋がゾッとした。彼女も同様にゾゾっとしたのを俺も感じ取ることができた。
何?この迫力。これ絶対、君のキャラじゃないよ。なんで、そんなに恐ろしくなれるの?


男は続ける
「で、どうするの?さっきのお兄さんの声から始まってるんだから、自分で決めろ。」
もう"お兄さん"って完全に見下されてる。
暴力的なケンカは最初からするつもりじゃなかったし
俺「いや、ケンカはしねぇけど・・・」とかそんな事くらいしか言えなくて、沈黙が続く。


ため息をつきながら、男はとんでもない行動に出た。
下を向いていた彼女に対し、
男「おい、こっちを見ろ。」
戸惑う彼女。
男は目を見開き、彼女を凝視。視線をそらす彼女。そして一言。
「おまえの顔覚えたぞ。」


「え?」と驚き、男の顔を見ると、恐怖を悟り、彼女は俺の背後に隠れ、体を震わす。
「あっ・・・あ・・・」とか声にならない様子で震えてた。
いくらなんでも、これはおかしい!だから、男に言った。


俺「彼女は関係ないだろ!やめろよ!」
男「は?何が悪いの?」
俺「卑怯だろ!」
男「(鼻で嘲け笑い)・・・おまえバカだろ?ケンカ売った相手が外道じゃない保証なんてどこにあるの?」


もう、完全に負けた。最初から負けてたけど。
そこから先は男にいろいろ言われたけど、もう、自分が情けないのと、彼女に申し訳ないのとで、なんかよく覚えていない。
その後、向こうも気分的にgdgdになったのか、飽きたからなのか、よくわからないけど、
「もう、行っていい。」って言われて、正直、命拾いした気分だった。


怖がってる彼女を落ち着かせるため、喫茶店で、休んでたんだけど、やっぱり、気分が悪いとかで、デート中止。
彼女を部屋の前まで送って、別れ際「今日はごめん。」って謝ったんだけど、彼女無言でカギかけた。


本当、自分が情けない。ケンカする度胸もなかったのに、なんで、あんな事しちゃったのか。
男に言われた"ケンカ売った相手が外道じゃない保証なんてどこにあるの?"はおそらく一生忘れない言葉になると思う。
彼女の中の俺の株価は大暴落だし、タイムマシンが欲しい。


もう池袋には行きたくない。マジ怖い。

はてなブックマークでは、「増田がDQN」「チビ男かっこいい」という反応が支配的ですが、違うね。たぶんね、ぼくの勝手な憶測ですけど、書いたのは「俺」の方じゃなくて「男」の方なんじゃないですかね。


きっと、小柄で気の弱い男が、買い物しててヤンキーカップルにぶつかって、「痛ってぇー! おーいマジかよ。クソ!」て言われて、聞こえないふりして歩き去る彼の後ろから「テメー、顔おぼえたからな!」って声かけられて、荷物を抱えてビビりながら家に帰ったんですよ。それがあんまり怖くて悔しかったので、攻守と視点を入れ替えて、このネタに転換させたんですよ。ぼくはそう診ましたね!


いやね、「ウソつくな!」って責めてるわけじゃありませんよ。そういう日常の憂さを作品に昇華させるってのは、創作の作法として決して間違ってはいないわけで。


でもコレじゃあ、単にチビ男をカッコよく、ヤンキー男を情けなく変えただけで、思い切った発想の飛躍に欠けていますね。平山夢明先生の実話系怪談を百回ぐらい読んで、勉強して欲しいです。

東京伝説 堕ちた街の怖い話 (恐怖文庫)

東京伝説 堕ちた街の怖い話 (恐怖文庫)


まずね、せっかく「当たると痛い紙袋」という美味しいアイテムを出してるのに、そこをふくらませないってのは実にもったいない。例えばね、チビ男の紙袋に当たった増田が思わず「痛っ!」と声を上げたら、男が「ふひゃひゃひゃひゃ」と笑いながら紙袋を投げつけて逃げていった。間一髪でよけたが、床に落ちた紙袋はぐわしゃんと異様な音をたてて、今朝までは増田の家にあったはずの水槽が粉々になったものと、ひからびたアロワナが出てきた。男は捕まっていない。とか、男の紙袋に当たった増田が思わず「痛っ!」と声を上げたら、男が「痛い? こんなのが痛いの? じゃあこれならどう? どうなの? ねえ!」とか言いながら、紙袋の中から取り出した犬の頭蓋骨で殴りつけてきた。袋の中には犬や猫の骨が十頭分以上入っていた。男は捕まっていない。とかね、ふくらませ方はいくらでも考え付くでしょう。


ただ、チビ男が増田本人じゃなくて彼女の方に向かい、「顔おぼえたぞ」というあたりのセンスは悪くないですね。より弱いところを狙われる方が、恐怖感は強まりますので。


例えば、ストーリーの順序を入れ替えて、ある朝、彼女が職場に出勤せず電話にも出ないので、心配して部屋に駆けつけると、彼女は両手両足の親指を背中側にまとめて結束バンドで縛られたうえに髪を坊主にされ、口の中いっぱいに玉子の殻が詰め込まれて窒息寸前になっていた。あのときのチビの仕業だ。男は捕まっていない。とか、彼女を部屋の前まで送っていって、「今日はごめん」と謝ったんだけど、彼女無言でカギかけた。増田が凹んでいると、部屋の中から悲鳴が聞こえる。あのチビが部屋に入り込んで待ち伏せしていたのだ。彼女を助けようとするものの、カギがかかっていて部屋には入れない……なんてのも考えられますね。



改変を少なくしてキレを増すのであれば、チビ男には余計な言い返しをさせず、増田ががーっとまくしたてる。男はずっと下を向いている。いたたまれなくなった彼女が「もうやめて」と割って入り、「すみませんでした」と男に謝ると、男は下を向いたまま「お前の顔おぼえたぞ」。ココでブチっと終わりにした方が不気味でいいでしょう。後は蛇足です。


まっ、要は、カッコつけて書いてちゃいかんってことですよ。増田の作者には、もっと自分を客観視して書くようにしてもらいたいですね。