主水夏バテで早朝体操を休む

東京のミイラ事件に端を発した非実在高齢者問題は、各地でさらなる発展を遂げており、山形県の酒田市では173歳の、滋賀県の甲賀市では182歳の、山口県防府市では186歳の戸籍が現存していることが判明。そして、長崎県では200歳の戸籍が抹消されていないことが発覚いたしました。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100828k0000m040055000c.html

高齢者不明：長崎に「２００歳」男性　青森、秋田にも

　戸籍上は生存する「超高齢者」の存在が相次いで発覚している問題で、長崎県壱岐市は１８１０（文化７）年生まれの男性の戸籍が残っていたことを明らかにした。生きていれば今年２００歳で、作曲家のショパンや国定忠治と同い年となる。

　市によると、男性の住所や誕生日は不明。０６年に戸籍を電算化したが、高齢者の戸籍の見直しはしていなかった。戸籍がありながら住民登録がされていない１２０歳以上の高齢者はこの男性を含めて７２人おり、市は「今後速やかに実態調査をして、戸籍の削除などを進める」としている。

　２７日はこの他に、青森市で１８４歳女性▽東京都中央区で１７７歳男性▽横浜市や秋田県能代市で１７０歳男性−−が戸籍上「生存」していることが分かった。

これらのニュースは、戸籍制度が持つ欠陥をあらわにしているものであって、決して「現代の日本人が敬老の精神を忘れたから」とかそういうことではありませんので誤解のなきよう。

んで、毎日新聞では、この200歳の人を「ショパンや国定忠治と同い年」と表現していますが、朝日新聞では、

http://www.asahi.com/national/update/0827/SEB201008270014.html

長崎・壱岐で２００歳「生存」　島津斉彬の１歳下

　戸籍上「生存」している高齢者が相次いで確認されている問題で、長崎県壱岐市で、今年で２００歳になる男性が戸籍上は生きている状態にあることがわかった。同市によると、１８１０（文化７）年生まれで、月日の記載はないという。薩摩藩の第１１代藩主、島津斉彬（なりあきら）の１歳年下にあたる。１８１０年は、フランスでナポレオンが皇帝として在位していた時代で、ハワイではカメハメハ大王が全島を統一した。

なぜか島津の殿様が引き合いに出されています。

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これがもう少し後の時代に生まれていたなら、幕末の英傑と同い年だったりするんですけどね。1810年といえば文化文政の時代で、ドラマ的には動きの少ない時代だと言えなくもないといいますか。

新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)

池波正太郎の『仕掛人藤枝梅安』シリーズは、時代設定としては1799年に始まっています。歴史的にあまり大きな動きのない時代を選んだのでしょうが、これを原作とする『必殺仕掛人』に始まる「必殺シリーズ」では、けっこう時代があっちにいったりこっちにいったりしています。まぁそもそもあんまり時代考証にこだわらない作品ではあるんですけど。

必殺仕置人 VOL.1 [DVD]

話を中村主水シリーズに限りますと、『必殺仕置人』は文化文政の時代を舞台にしていますが、続く『暗闇仕留人』ではいきなり時代が進んで、黒船来航の1853年になり、幕末の混乱した世相が描かれています。

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しかし、これに続く『必殺仕置屋稼業』では、鳥居耀蔵が南町奉行として出てくるので少なくとも20年ぐらい時代を遡っているのですが、ストーリー的には『仕留人』の続きという扱いになっています。そして『必殺仕業人』『新必殺仕置人』と、ストーリーは直接続いていきますが、時代はいよいよあいまいになっていくのでした。

連続ドラマとしての必殺シリーズがいったん終わったあと、二時間のスペシャルドラマになってからはますます混乱が激しくなり、時代を百年以上遡って赤穂浪士の討ち入りに助太刀したり（このときはさすがに、本編の前に「あくまでお遊び」という言い訳があった）、かと思えば桜田門外で井伊直弼を暗殺してみたりと、江戸時代を股にかけて縦横無尽の活躍を見せるのでありました。タイムスリップして明治９年のアメリカに行き、騎兵隊と戦うという、もう何がしたいのか誰にもわからない作品まであったものです。

こういった時代設定のデタラメさを解決するため、「中村主水は歴史上三人いた」なんて珍説もあるぐらいですが、少なくとも、非実在高齢者の年齢と比較するのにこれほど不向きな人物もそういないでしょうね。