いのちを売ってさらし首

2009年末の、ダウンタウン「絶対に笑ってはいけないホテルマン24時」で、中村玉緒がゆってぃの扮装で登場するギャグがありました。


中村玉緒は、「『必殺シリーズ見てます』って言われました。それは菅井きんさんや」というネタをやっていましたが、 「仕事人」には出てないにせよ『必殺仕置屋稼業』には元締め役でレギュラー出演していたじゃないか、というツッコミはまぁ野暮というものでしょう。

必殺仕置屋稼業 VOL.1 [DVD]

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というわけで、藤田まことの訃報ですよ。


http://www.asahi.com/culture/update/0218/OSK201002180103.html

「仕事人」役者貫く 藤田まことさん、喜劇から演技派へ

 「私は必殺仕事人。中村主水(もんど)と申します」「あたり前田のクラッカー」――。時代劇の必殺シリーズやテレビコマーシャルの名ぜりふなどでお茶の間の人気者だった俳優の藤田まことさんが亡くなった。昨秋に病に倒れて休養に入り、ようやく復帰したばかりだった。

 藤田さん主演の必殺シリーズは30年以上続く。監督を務めた演出家の松本明さん(76)は藤田さんと自宅が近く、五十数年の付き合いがあった。昨春、京都の撮影所で会った時は「昔の必殺シリーズのメンバーで仕事がやりたいね」と語り合ったという。「すでに走るのはつらい様子で、精神力で仕事をしていた。弱みを決して見せなかった」と振り返る。

 「台本に納得しないと、『こう直していいですか』と切り込み、とことん仕事をしていた。最近は病気と闘いながらの仕事だったので、しばらくはゆっくりと休んでほしい」

 出世作となった「てなもんや三度笠」で共演した財津一郎さん(75)は「様々なドラマで死ぬまで主役を張り続けた人だった。命を燃やし続けて旅立ったと思う。敬愛する先輩として、心静かに冥福を祈りたい」。同じく共演者の白木みのるさん(75)も「1歳年上なので『あにい』と慕っていた。数日前に再び入院したと聞いたが、こんなに早く亡くなるなんて」と残念がった。演出した元朝日放送ディレクターの澤田隆治さんは「バタバタしない人でした。60年近い役者人生をゆっくり楽しんで、熟成させて大きくなった俳優だったと思う」と話した。

 映画制作会社「映像京都」の社長で美術監督西岡善信さん(87)は「昨年の暮れ、剣客商売の撮影で京都・大覚寺で会った時は元気だったのに……」と声を落とした。「もともと喜劇役者で出発しただけに、藤田さんがいるだけで周りが明るい雰囲気になるムードメーカーだった」

ここでも見出しは「仕事人」なんですね。中村主水が登場するシリーズは『必殺仕事人』以外にもいっぱいあるのに。



http://mainichi.jp/enta/art/news/20100218k0000e040068000c.html


こちらの、毎日新聞のニュースでは

 73年、「必殺」シリーズ第2作「必殺仕置人」に中村主水役で出演。09年までのシリーズ全31作中16作に出演し、代名詞ともいえるはまり役になった。

と、あります。

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一覧を作ってみると、

となります。


ですが、このほかに『助け人走る』と『必殺剣劇人』にも中村主水はゲスト出演しているので、正確には18作に登場していることになりますね。


初期の必殺シリーズは、中村主水ものと緒形拳ものが二大潮流になっていましたが、後期になると、「仕事人」シリーズと派生作品(中条きよしや三田村邦彦が主役の『必殺仕切人』『必殺まっしぐら!』など)がほとんどとなり、末期には『仕事人V』がズラッと続くという特異なシリーズ進行を見せることとなりました。


初期シリーズのもうひとつの顔だった緒形拳はすでに亡く、藤田まこともこのたびお亡くなりになりました。テレビドラマ史上に輝く金字塔である「必殺シリーズ」も、もはや遠い昔の物語となってしまいました。