フロム・ヘル
はてな村のお家芸ともいえる「傷つける男の性とそれに傷つくナイーヴ男子」が、今度もまた盛り上がっているようです。
震源地はこのあたり。
http://noraneko.s70.xrea.com/mt/archives/2010/0517001413.php
この論自体はごく当たり前のことだと思いますが、これに反発する人も少なからずいて、派生エントリがいくつも出ています。
女をモノ扱いするのは男の仕様、あるいは男の性の脆弱性と所有欲について - Ohnoblog 2
(↑大野左紀子さんのエントリ。こちらもブクマ多数)
http://noraneko.s70.xrea.com/mt/archives/2010/0523001042.php
(↑「電脳ポトラッチ」さんの追撃エントリ)
んで、これらを受けてか「男性も抑圧されている」という意見が、女性の側からも出ています。
傷つける性として生まれた罪を知れ - どうでもいいことかもしれない
こちらの方は、よくこういう意見を書いておられるようですが、実際に男性として生きているぼくは、この方が言うほど日々の生活の中で抑圧を感じているわけではないので、「そこまで気遣ってもらわんでも」という気持ちにならんでもないですね。
女性が男性から性的視線を向けられたときの感覚と、男性が女性から性的視線を向けられたときのそれは絶対に対称ではないと思うんですが、そこが理解できない人ってのも男の中にはいるんでしょう。実際に女性から性的対象として見られた経験がなくて観念だけでモノを言ってる子とか、そうなるのかなあ。
男性が、男から性的視線を向けられた女性の感覚を想像するのには、自分が女から性的視線を向けられることではなく、男から欲望の対象として見られることを想像すればいいと思います。でも性的欲望だと嫌悪感が強くなりすぎるので、ここは格闘欲に置き換えて。
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文七は、川沿いの土手をランニングする堤のもとに現れ、次の対戦相手は自分だと告げます。しかし、堤は対戦相手のことなど意にも介していませんでした。彼は「全力を尽くす」という自らのポリシーのみに従って行動するため、相手が誰なのか、それどころか結果としての勝ち負けすら眼中にないのです。
そして文七は、汗をかいて歩く堤の、小柄ながら分厚い肉体を見て、強い衝動に襲われます。
闘りてェ……
今すぐこの男に拳を打ち込みてェッッ、その衝動を文七は歯を食いしばってこらえます。そんな文七の様子が伝わったのか、堤は「落ち着け」「俺だって闘いたい」「そして、お前が怖い」と返します。
堤が、文七の格闘欲を好意的に受け止めたのは、彼もまた格闘家だったからです。これが素人だったら、身長182cm・体重104kg(ついでに31歳・無職)の空手とサンボの達人から「闘りてェ…」という欲望を向けられるのは恐怖でしかありません。ぼくだったら土下座でもなんでもします。丹波文七は言葉で丸め込める相手ではありませんし。スクネ流の術を使えばうんこを漏らさせることもできますが、それは姫川勉にしかできませんし。
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女性にも暴力衝動はあるでしょうが、男性のそれは性的欲望と密接に結びついています。性的視線の男女差を考えるには、そこを忘れてはいけないと思いますね。
ちなみに、男性の性的欲望と暴力衝動が最悪の形で結びついた例が、快楽殺人です。
近代におけるその嚆矢とされるのが、おなじみの切り裂きジャック事件ですね。
日本では仁賀克雄さんあたりがリッパロロジストの第一人者と言われていますが、そんなリッパロロジストたちに衝撃を与えるニュースが飛び込んでまいりました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010052700982
売春婦殺害容疑で40歳男逮捕=「切り裂きジャック」研究者−英
【ロンドン時事】英中部ブラッドフォードで27日までに、40歳の男が売春婦殺害容疑で警察に逮捕された。男は殺人犯の心理、特に19世紀末のロンドンの売春婦連続殺人犯「切り裂きジャック」を研究していたとされ、警察は最近行方不明になった別の売春婦2人との関連も追及している。
逮捕されたのは地元の大学院生スティーブン・グリフィス容疑者。同容疑者の自宅付近で先週末、36歳の売春婦が男ともみ合っている様子が監視カメラにとらえられていた。
27日付の大衆紙サンによれば、映像にはこの女性が殴り倒された後、男にボウガンで頭を撃たれる衝撃的なシーンが写っているという。25日には、切断された頭部などこの女性のものとみられる遺体の一部が付近の川で発見された。(2010/05/27-20:21)
うわぁ、こりゃ参るなぁ。これでまた実録殺人マニアの肩身が狭くなるんだろうなぁ。「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ」というニーチェの言葉が説得力をいや増すことになりそうです。