We are the Champions
WBC世界フライ級暫定王者、ポンサクレック・ウォンジョンカムが、亀田興毅との王座統一戦に勝利し、正王者の座につきました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100327-00000560-sanspo-fight
この試合はオープン・スコアリング・システムを導入しており、4ラウンドと8ラウンド終了時に採点が公開されたのですが、さすがTBS中継の試合というべきか、8ラウンドまではジャッジの一人が亀田にポイントを与えていたのが印象的でした。どこをどう見ればそんな採点になるんだ。
まぁとにかくポンサクには、この勢いで、WBAとの統一にも挑んでほしいですね。現在、WBA世界フライ級チャンピオンは亀田興毅の弟の亀田大毅ですので、兄の敵討ちに弟が出てくるというのも浪花節っぽくて日本人ウケするんじゃないでしょうか。
といっても、大毅は暫定王者ルイス・コンセプションや元王者坂田健史との対戦を避けるために王座を返上するという見方が有力なので、この統一戦は実現しない公算が高いですけど。
この敗戦により、亀田ファミリーの今後が気になるところです。これまで、慎重きわまりない対戦相手の選定と手厚いホームタウン・デシジョンによって快進撃を続けてきた興毅ですが、今日の試合を見る限りでは、もうその戦略も限界に来ていると言わざるを得ません。
大毅にしても、表向きは減量苦を理由にして階級を上げるものとみられますが、ひとつ上のスーパーフライ級には、WBA・WBC統一王者のビック・ダルチニアンが君臨しており、WBA正規王者の名城信男、暫定王者ノニト・ドネアと強豪がひしめいているので、ここに大毅が食い込むのは難しいでしょう。
それにしても、ここまで名前を挙げたボクサーのほとんどが「世界チャンピオン」を名乗っているというのはどういうわけか。
フライ級とスーパーフライ級の二階級だけで、
- WBCフライ級(前)正規王者:亀田興毅
- WBCフライ級(前)暫定王者:ポンサクレック・ウォンジョンカム
- WBAフライ級正規王者:亀田大毅
- WBAフライ級暫定王者:ルイス・コンセプション
- WBAスーパーフライ級スーパー王者:ビック・ダルチニアン
- WBAスーパーフライ級正規王者:名城信男
- WBAスーパーフライ級暫定王者:ノニト・ドネア
- WBCスーパーフライ級正規王者:ビック・ダルチニアン
二団体が、のべ八人の王者を認定しているんですね。
暫定王者というのは、怪我や病気、兵役などにより王者が長期にわたって防衛戦を行えないとき、制裁措置として団体が認定するものなのですが、近年はタイトルマッチの興行権など金銭的な問題によって暫定王者が生まれることが多くなりました。タイトルマッチは多いほうが興行的にも売りになるし、WBCやWBAも認定料で潤いますしね。
また、WBAにはスーパー王者制度というものがあります。
WBA王者が、他団体(WBC,WBO,IBF)の王者との統一王者になった場合、そのボクサーは「スーパー王者」に格上げされ、WBA正規王座は空位となり、新たな王者を認定する決定戦が行われるのですが、この制度はチャンピオンの乱立を招き、王座の権威を損なうとして批判されています。それに「スーパーチャンピオン」という称号のダサさも特筆ものです。少年チャンピオンの増刊号かなんかじゃないんだから。
タイトルマッチというのは実に厄介なもので、ことに「統一戦」となると政治的な問題も絡んできます。
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しかし、日本ボクシングコミッションはWBAとWBCのみを認可しており、WBOは認可していないため、日本のジムに所属している長谷川は、この試合に勝ってもWBOチャンピオンになることはできません。逆に、負ければWBCタイトルを失うことになります。
モンティエルが2月にやったWBOタイトル防衛戦も見ましたが、挑戦者を1ラウンドでボディブロー一発KOに葬る実力者でした。この強豪と、リスクのみ高く得るものの少ない戦いに挑まねばならない長谷川の心中たるやいかなるものでしょう。
この問題もあり、長谷川穂積はアメリカ進出を目指していますが、長谷川がアメリカへ行ってしまったら、日本ボクシング界の話題の中心は、商品価値の下落したお亀一家になってしまうんでしょうか。
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