ヤンヤンヤヤーン八木山のー

ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~

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ゴールデンスランバー』を観てきたッス。


http://www.golden-slumber.jp/


アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』に続く、伊坂幸太郎原作の仙台映画ももう三作目となりました。

アヒルと鴨のコインロッカー [DVD]

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重力ピエロ 特別版 [DVD]

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森淳一監督の『重力ピエロ』が街のスケールをデフォルメしていた(逃げる人を走って追いかけ、捕まえたのが10キロ先だったりする)のに対し、『アヒルと鴨』に続く二度目のオール仙台ロケとなった中村義洋監督は、現実の仙台マップにきわめて忠実に撮影しています。前二作がわりとスケールの小さな話だったのに対し、今度は、首相暗殺という国家規模の事件と、荒唐無稽な逃亡劇という、スケールの大きな話がよく見知った場所で展開されるので、地元の人間が観ると、リアリティがあるんだかないんだか判断できない夢幻的空間に遊ぶことになります。


よその地方に住む人も夢幻的に感じるかどうかはわかりませんが、殺人と暴力と陰謀を扱っているのに不思議とユーモアにあふれた映画になっていて、劇団ひとりの彼女役にソニンを配するあたりはそこはかとない悪ノリを感じないでもなかったです。永島敏行が演じるターミネーター刑事も変態っぽくてよかったし、地元のローカルタレント本間秋彦が出演する帯番組「ナマイキTV」や、八木山ベニーランドのCMソングをそのまま流すなど、仙台ネタもさすがに堂に入っていました。

  • ベニーランドの歌


ただ、気になったところがないわけでもない。


※以下ネタバレ





















首相暗殺犯として追われる堺雅人は、変態刑事の香川照之と永島敏行(なんてイヤな二人組だ)に捕まりますが、仙台を騒がせている連続通り魔の濱田岳(通称「キルオ」)によって助けられ、アジトや情報の提供、刑事の殺害にいたるまで有形無形の援助を受けます。最後には、キルオはワナを張っていた敵と相打ちになって死にます。


堺雅人を抹殺しようとする権力と、彼を救おうとする人々との対立構造になっているこの作品の中で、キルオだけが浮いているんですね。この人の行動にはまったく意味や必然性がなく、通り魔事件と暗殺事件との関連もとくにないので、必然性のない行動をさせるためだけに「狂人」を出したような感じを受けました。


あと、10年近く放置していた廃車がバッテリーを交換しただけで動いたのも、ちょっとビックリします。


まぁこの辺のご都合主義は、作品がポリティカルになり過ぎないようにあえてそうしたのかもしれませんけどね。原作にもちゃんと書いてあるし。

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー



あと、主人公たちはみんな大外刈りを使うのですが、劇中では「1・2・3・4」のリズムでかけています。でもぼくが中学生のころに先生から教わったのは「1・2・3」のリズムだったので、そこはちょっと違和感を覚えましたが、ま、そこまで気にする必要もないですね。

バイタル柔道―投技編

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