ゾンビ映画大マガジン

別冊映画秘宝 ゾンビ映画大マガジン (洋泉社MOOK)

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別冊映画秘宝ゾンビ映画大マガジン』を買いました。


ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

2003年に出た『ゾンビ映画大事典』が、1932年の『ホワイト・ゾンビ/恐怖城』から2002年の『バイオハザード』まで、70年で345本の映画を扱っていたのに対し、今回の『大マガジン』は2002年から2010年までの十年足らずを対象にしているのに、この短い期間で300本以上の映画を扱っています。80年代のゾンビ・バブルをはるかに超えるブームが巻き起こっているわけですね。あんまり実感なかったんだけど。『バイオハザード』がゾンビカルチャーに与えた影響の大きさを、今さらながら感じますね。
バイオハザード リバイバルセレクション - PS3

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んで、映画やゲームのみならず、漫画界でもゾンビブームは続いています。評価や売れ行きでは花沢健吾の『アイアムアヒーロー』が頭ひとつ出ていますが、ぼくが押しているのはこの2本。


すぎむらしんいちの『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ』は、女は男を食い殺す「女ンビ」に、食い殺された男は普通のゾンビになる世界で、生き残った童貞ボンクラと女子高生が中野ブロードウェイに逃げ込むという、超ニッチな漫画です。『ゾンビ』のみならず『バーニング』や『トラック野郎』へのオマージュも捧げられており、元ネタ探しも楽しい。レンタルビデオを模した装丁や帯などのクスグリも効いています。舞台が中野ブロードウェイというのもいいです。ぼくも何度か行ったことがあるので、知った場所が出てくるとなんだか楽しくなります。仙台人が『ゴールデンスランバー』の映画を観たときと同じような感じですね。

ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』も、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるモンローヴィル・モールというショッピングモールで撮影されたわけですが、地元の人はやっぱりあの映画を観て「ココ知ってる!」と笑ったりしてたんでしょうかね。ちなみにこのモンローヴィル・モールでは、ときおり『ゾンビ』上映会やゾンビコスプレ大会などのコンベンションが催されており、本場のファンの間では聖地になっているそうです。
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もう1本、三家本礼の『血まみれスケバンチェーンソー』は、三巻でとりあえず第一部完、間髪入れずに第二部に突入するという怒涛の展開(というほどでもないけど)を見せています。とにかく(いい意味で)中身のない、(いい意味で)頭の悪い漫画です。ぷにぷにした丸っこい絵柄もますます好調で、血みどろ殺戮漫画なのに読んでいるとなぜか癒される不思議な作品です。


アイアムアヒーロー』も含め、この作風の幅広さを見ると、ゾンビが日本でもポップ・イコンとして充分に成熟した存在であることを感じさせられますね。