ヘブンリー・ブルー

はてなで定期的に話題に上がってくるのが「性犯罪と自己防衛と被害者憎悪」の問題ですが、今回はこちらが盛り上がっているようで。



http://d.hatena.ne.jp/Francesco3/20091129/1259458069
曽野綾子産経新聞に載せたコラムがあまりにもひどい、というお話です。タイトルは釣りというか皮肉だと思うんですが(実際問題、性犯罪者を去勢しても意味はあんまりない。快楽殺人犯には性的不能が少なくないことを考えれば自明である)そこに噛み付いてる人も多いですね。「男は犯す生き物」という前提で女性に”自衛”を促すことの、どうしようもない欺瞞を表してるのは明白だと思うんですけど。


それにしても、性犯罪の話になると必ず曽野綾子の発言が問題になりますね。今回もとくにすごいのは、

 今でも忘れられないのは、いわゆる「基地の町」の駐車場で、夜半過ぎに1人で歩いていた女性が米兵に襲われて殺された事件である。
 もちろん襲った米兵が悪いのだが、午前1時過ぎに基地の近くを1人で出歩く女性は、性的商売をしていると思われても仕方がない。それは日本以外のほとんどどこの国でも示される反応だ。

こりでは、性的商売をしている女性は襲わりて殺さりても仕方ないことになってしまうではねいでぃすか。
(あんまりひどい内容なのでシマリスくん口調で書きました)


実在の殺人鬼でも、セックスワーカーの女性を好んで殺害していた人物は少なくありません。


http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20070320
曽野先生も、こういう人たちの気持ちがわかってしまうんですかね。


そういえば、曽野綾子先生の作品には、大久保清をモデルにした小説もあるんですよね。

天上の青〈上〉 (新潮文庫)

天上の青〈上〉 (新潮文庫)

天上の青〈下〉 (新潮文庫)

天上の青〈下〉 (新潮文庫)

この小説では、クリスチャンで身持ちのカテエ女性が、女を犯しては殺し埋める冷酷な殺人鬼と知り合い、ささやかな交流を持ちます。ヒロインが殺されずに済んだのはスカートが長かったから、ってことですかね、このコラムの理屈からいうと。


曽野先生のみならず「最近の若い女の子は警戒心がなくてうんぬん」という人がよくいますが、大久保清は今から38年も前の1971年に、わずか70日ていどの間に100人以上の女性をナンパし、少なくとも35人の女性と肉体関係を持ち、最初の殺人からわずか41日で8人を殺害していました。

昭和四十六年、群馬の春―大久保清の犯罪

昭和四十六年、群馬の春―大久保清の犯罪

大久保の被害に遭った女性たちは、何も夜中に人気のない道を歩いていたわけではなく、昼間の市街地で声をかけられ、車に乗せられています。
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曽野先生、自分の小説で題材にした事件のことを忘れちゃったンでしょうかね。