鳩に豆鉄砲をどうぞ

今日は休みの予定だったんですが、緒形拳の訃報を聞いては黙っておれません。


http://mainichi.jp/enta/art/news/20081007k0000m040152000c.html

訃報:緒形拳さん71歳=「楢山節考」「鬼畜」など演じ


2008年9月19日、東京都内のCM発表会に出席した緒形拳さん=米田堅持撮影 「楢山節考」「鬼畜」などの映画、テレビドラマ、舞台で幅広く活躍した俳優の緒形拳(おがた・けん、本名・明伸=あきのぶ)さんが5日、死去した。71歳。葬儀は7日、近親者で行った。死因などは明らかになっていない。

ショック大。


で、津川雅彦がその臨終についてブログで語っていまして。

http://www.santanokakurega.com/2008/10/1051153.html

話しの最後に、俺の手を握りながら
『お前身体大事にしろよ!良い映画沢山創ってくれよな!治ったら、うなぎ喰いに行こうな、白焼きをな』と冗談交えて、医者に危篤を宣言されてる患者とは思えない、明るい台詞を残して、その4時間後には、歌舞伎役者のように、虚空を睨み付けながら、静かに、静かに、息を引き取った!実に安らかに、全く苦しむ様子も見せず、
名優らしい!カッコいい!立派な最後だった!俺もあんな死に方したいと、本気で思えた!臨終に間に合い、
話が出来てつくづく良かったと思ってる!

カ、カッコイイ…!


緒形拳といえば、『楢山節考』や『復讐するは我にあり』など重厚な作品も知られていますが、ぼくとしては、なんといっても『必殺仕掛人』ですね。池波正太郎の原作小説では寡黙で重厚なイメージのあった藤枝梅安でしたが、緒形拳はこれを軽妙洒脱な粋人として演じ、必殺シリーズのテイストを決定付けました。

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第15話「人殺し人助け」では、津川雅彦が悪役として登場します。


津川はこの後もシリーズに欠かせない悪役として何度も登場し、シリーズ第五弾『必殺必中仕事屋稼業』第20話「負けて勝負」で再び緒形と共演。このエピソードは、悪役を殺さずにポーカーで対決するという異色篇としてファンの記憶に残っています。

必殺必中仕事屋稼業 下巻 [DVD]

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緒形拳は、必殺シリーズに別々の殺し屋役で三回登場していますが、作中で死亡するのは、三度目となったシリーズ第八弾『必殺からくり人』のみでした。

ラス前の第12話で、緒形拳演じる夢屋時次郎は、幕府の要人である鳥居耀蔵を狙撃するのですが弾丸が鳩に当たって失敗し、「負け〜てくやしい花いちもんめ♪」と歌いながら顔に黒色火薬を塗りたくり、壮絶な爆死によって自決を遂げるのでした。


そのサブタイトルが「鳩に豆鉄砲をどうぞ」というのも、人を喰ったようなユーモアが、緒形拳の凄味とよくマッチしていたものです。



ちなみに。


シリーズ第十一弾『新必殺からくり人東海道五十三次殺し旅』では、緒形拳安藤広重を演じ、彼の描いた東海道五十三次の絵に隠されたメッセージによって、山田五十鈴高野長英(演じるのは近藤正臣)一行が、東海道を旅しながら悪党を仕置するというストーリーになっていました。


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この設定って、『トンデモ本の世界』で有名になった精神科医の川尻徹と同じ発想ですね。
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