硝子簾の、向うの闇に

仙台の繁華街、一番町には「ブラザー軒」という洋食/中華料理店がある。


http://r.tabelog.com/miyagi/rstdtl/4001473/


五目やきそばやハヤシライスが人気の、老舗だ。


この店は、高田渡の歌で有名である。


菅原克己の詩に高田が曲をつけたこの歌は、死者と出会う内容だ。

菅原克己全詩集

菅原克己全詩集


ガラス暖簾がキラキラ波打つ、東一番町のブラザー軒。七夕の夜(仙台の七夕祭りは、旧暦なので8月である)、カキ氷を食べる主人公の前に、死んだ父と妹が現れる。


ふたりは席にすわり、カキ氷を食べる。


主人公は、それに驚くでもなく、淡々とその姿を見ている。
ふたりには声がなく、ふたりには主人公の姿が見えていない。


彼らはすでに幽明境を異にしており、まぼろしを見る以上のかかわりは持てないのだ。



実は、ぼくにも同じ経験がある。といっても夢の中の話だ。


ぼくには、赤ん坊の頃からかわいがってくれた伯父がいたのだが、三年前にがんで亡くなった。

その次の年の盆に、ぼくは伯父の夢を見たのだ。


夢の中で、ぼくは両親や伯母や従姉たちといっしょに、伯父の家に集まっていた。
皆で伯父の思い出を語り合っていると、ふいに、その中心に伯父が座っていることに、ぼくは気付く。


伯父は、伯母や父や従姉に何かを伝えたいらしく、しきりに語りかけようとしているのだが、伯父には声がなく、誰も伯父がそこにいることに気付かない。伯父の姿はぼくにしか見えていないのだ。


そして、伯父はぼくには何も伝えようとしない。伯父にはぼくの姿が見えていないのである。


ぼくは、その様子をただ見つめていた。怖さも強い悲しみも感じることはなく、ただその様子を覚えておきたいという気持ちでいた。


そうしているうちに目が覚めた。夢の中では感情が動かず淡々としていたのだが、目覚めてみると、ぼくは眠りながら涙を流していたことに気付いたのだった。


話はこれで終わりである。「実は伯父はこれこれこういうことを訴えようとしていた」とかいう後日談はない。それをやってしまったらオーラの色がどうとかスピリチュアルがうんたらとかいうのと同じ類のヨタ話になってしまう。あくまで夢の話であり、ぼくの意識下にある死生観を反映したものだと思うのだ。


http://www.tv-asahi.co.jp/aura/
今日放送の「オーラの泉スペシャルは松田美由紀がゲスト。

あのデブのオカマ野郎が、松田優作の言葉を伝えるってのか。
ふざけるんじゃねえよ。
優作がお前なんかにメッセージを託すもんか。


まぁ江原啓之のことはどうでもいい。どうせもう長くはないだろう。


現在のブラザー軒にはガラス暖簾はなく、メニューに氷スイもない。今どきそんなものを頼むのは山岡士郎ぐらいのものである。

美味しんぼ (11) (ビッグコミックス)

美味しんぼ (11) (ビッグコミックス)


髭男爵のコント「キツネ狩りで訪れた森で不思議な妖精と出〜会うの巻」を見ていたら、そんなことを思い出した。

お前がわし見えてないんか〜い♪