読むのが怖い!

昨日は、仙台文学館で開かれた北上次郎先生の講座を受けてまいりました。

読むのが怖い!―帰ってきた書評漫才 激闘編

読むのが怖い!―帰ってきた書評漫才 激闘編


冒険小説の評論では第一人者といわれる北上先生が、とても熱っぽく、小説の面白さについて語ってくださいました。


小説は、「何を書くか」(ストーリー、プロット)より「どう書くか」(人物造形、情景描写)が大切であり、とりわけ人物が大切だ、とのこと。


二流の作家は、人物を描くのにまず年齢と職業から書き始める。

それは描写ではなく、単なる説明にすぎない。


ケータイ小説が批評家にこき下ろされるのも、「アユはそのとき○○しました」「そのとき××と思いました」「それはアユが△△だったからです」式の説明に終始していて、描写というものがないからなんですね。


「怒った」とか「うれしかった」などと感情を直接書いてしまったり、人物の人となりを説明してしまうのではなく、人物の動作や表情によってそれを表すのが小説のやり方であり、それができていないものは評価できない、というのが批評家の視点なのだそうです。


たとえば、直木賞を取った桜庭一樹『私の男』では、冒頭の、お父さんが盗んだ傘を優雅な動きで差し出すという一文で、この人がどんな人間かを語っています。

私の男

私の男

こういう書き方が、小説としての上手さなんですね。



ブログを書くうえでも、

  • 題材そのものよりも切り口で面白さを
  • 管理人の考え方はネタの選定で語る

というのを心がけようと思います。