読むのが怖い!
昨日は、仙台文学館で開かれた北上次郎先生の講座を受けてまいりました。
- 作者: 北上次郎,大森 望
- 出版社/メーカー: ロッキングオン
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
- 作者: 北上次郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/06/12
- メディア: 文庫
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冒険小説の評論では第一人者といわれる北上先生が、とても熱っぽく、小説の面白さについて語ってくださいました。
小説は、「何を書くか」(ストーリー、プロット)より「どう書くか」(人物造形、情景描写)が大切であり、とりわけ人物が大切だ、とのこと。
二流の作家は、人物を描くのにまず年齢と職業から書き始める。
それは描写ではなく、単なる説明にすぎない。
ケータイ小説が批評家にこき下ろされるのも、「アユはそのとき○○しました」「そのとき××と思いました」「それはアユが△△だったからです」式の説明に終始していて、描写というものがないからなんですね。
「怒った」とか「うれしかった」などと感情を直接書いてしまったり、人物の人となりを説明してしまうのではなく、人物の動作や表情によってそれを表すのが小説のやり方であり、それができていないものは評価できない、というのが批評家の視点なのだそうです。
たとえば、直木賞を取った桜庭一樹の『私の男』では、冒頭の、お父さんが盗んだ傘を優雅な動きで差し出すという一文で、この人がどんな人間かを語っています。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 単行本
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こういう書き方が、小説としての上手さなんですね。
- 題材そのものよりも切り口で面白さを
- 管理人の考え方はネタの選定で語る
というのを心がけようと思います。