狂乱痴獄

『堕靡泥の星』文庫版5・6巻が出ております。

いやー、今回はかなりの危険度です。


5巻に収録されているエピソード”狂乱痴獄”と”毒牙の館”では、主人公の神納達也は、巨額の財産を横領しようとする叔母たちの陰謀によって悪徳精神病院に入院させられ、薬漬け・電気ショックによって廃人化されそうになります。


セリフには「気狂い」[きちがい]が連発されますが、巻末になんらかのエクスキューズがあるかと思いきや、なんにもありません。
それどころか、このシリーズの巻末には「つづく」とか「以下続刊」とかそういうシメがまったくないので、これで終わり? 落丁とかない? という気にさせられるんですけど。



それはともかく。



達也が入れられた病院では、反抗的な患者に対し電気ショックを懲罰的に使っており、被害者から「電パチ」と呼ばれ、恐れられています。


この辺の記述は、連載当時に出た本『ルポ・精神病棟』を参考にしていると思われますね。

ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1)

ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1)


その後、1984年には宇都宮病院事件が発覚します。


http://gonta13.at.infoseek.co.jp/newpage296.htm

200人以上の患者が不審死を遂げ、看護人によるリンチや無資格診療、作業療法と称しての使役などの実態が世間におおいに衝撃を与えたこの事件では、院長に懲役一年、職員には執行猶予つきの判決が出たというからそれも恐ろし過ぎますね。


その後どうなったのか調べてみたら、報徳会宇都宮病院は今も存続しており、ホームページも開設されていました。


報徳会 宇都宮病院

すごいなぁ。